メルマガ色鉛筆第229号新天地「つぶやきにつぶやいて」

タイトル 「新天地「つぶやきにつぶやいて」
メルマガ色鉛筆編集チーム
 こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
今回は、まず一通のお便りを紹介します。
「この春、引っ越しした藤紫のヨガマットです。
うちは転勤族です。引越は11回。見えにくくなって4回です。
さて、まだまだ片付けは終わりません。
今まで何度も転居したのに今回はなんだか大変なんです。
視野欠損が進んだのでしょうか。
ものが見つからない、ここに入れたはずなのに、あれれ?
引っ越しから入居後の生活まで「なんで?なんで?」の連発です。
今回の新居はマンションタイプ。
以前は1階、今回は9階です。
ハプニングと発見の毎日です。
ロービジョンが転居するとこんな感じだよっていうのを、早起きした朝に書き出して
みました。
すると、出てくるわ出てくるわ。
出てくるのは探し物じゃなくてなれない土地でのエピソード。
シーンごとにコンパクトにお届けします。
 このお便りを受け取ったのは、バタバタグレージュさん。
シーンごとに思わずつぶやいてしまいます。
今回はそんなお二人のやりとりをお届けします。
★「階段」
 ダイエット中につき、マンションの外階段を上ってみた。
自宅は9階、階段を数えたら165段。
初日5階で息があがりながら何とか辿り着く。
アレ?なんか変。そこは隣の棟だった。
さっさとエレベーターで降りた。
以降間違えることは無い。
でも、3日続けたら膝が痛くなったのでしばらく自粛。
「えー、同じような建物があるのね。そりゃ間違えるよね。
階段使ってダイエットなんてすごいー。
もう間違えないってのもすごいー。
尊敬しちゃう」
★「階段2」
 白杖ついてエレベーターをおり、夫に続き外に出ようとした。
ギャー!足を踏み外す。
日中は薄暗いエントランス。1.5メーター置きに段差が三つ。
並行してその奥がスロープ。
うっかり二度もこけかけた。
さすがに三度目は無い。
冷っとするだけで転倒しなくてよかった。
「暗いところって、建物のデザインをインプットしておかないとヒヤヒヤだよね。
そろそろ階段かなとか、ここはこれくらいの幅、これくらいの高さとか、
白杖を持っていても心の準備があるかないかじゃドキドキ度ちがうよね
怪我がなくてよかった。
3度目はない、ほんまよかった」
★「スーパー」
 安いと聞いた自宅から二番目に近い徒歩5分のスーパー。
店舗へ辿り着くと「いらっしゃいませ」の声。
声のするほうへ向かうと、
「入口はあっちです」と数メートル先を教えられる。
それにしても、私はどこに入ろうとしたのだろう?謎である。
「なぞ、解決しないことあるよね。
推理してみたよ。
従業員用出入口?
搬入口?
最近は建物の外から入れるユニバーサルトイレのある店舗もあるね」
★「お風呂」
 風呂水を溜めようとゴム栓のチェーンを探すが見当たらない。
家人に訊ねるとバスタブのヘリのボタンを教えられる。
白地に白。これでは視野に入ってもわからない。
でも生まれてウン十年チェーンのないバスタブは初めて。これって最新式?
「チェーンのないバスタブ、それって随分前からあるよ。
その部分だけで最新式かどうかはわからないけど、
もう場所おぼえたから、白に白でもきっと大丈夫だよね。
見えてるみたいにボタンにすっと手が行く、この動き最新式に加えてね」
★「サッシ窓」
 リビングのサッシ窓、鍵を外し開けようとするがビクともしない。
後ろから夫が、頭の高さにもう一つ鍵があると言う。
サッシ一枚に上下二つの鍵、高さ235センチ。
以前マンションタイプのところで使ってたカーテンでは15センチ足りない。
物入りだわ。現在注文中。
「リビングの窓、高さがあると光もたくさん入るね。
今は隙間15センチからの朝日も楽しめてるのよね。
これもレアな体験だね。
それにしても新しいカーテンって、なんだかいいなあ。新婚さんみたい」
★「洗面台」
 お風呂あがりに髪をドライヤーで乾かす。コンセントの差し込みが左なのでなんか
不便。
そう思って17日経過。そして発見。右側にも差し込みが・・。
今まで左右にあった洗面台は無かった。思い込みの怖さよ。
「うちもコンセントは左右にあるよ。
これ便利だよね。
両方にあると助かるって発想、これも発見だよね。
ちゃんと見つかって、発見を発見できてよかった」
★「ゴミ出し」
 前日夫と一緒にゴミ置き場の確認をした。
ゴミの種別ごとに出す位置が異なる。
今日は転居後初の燃やすゴミの日。
私の前をゴミ袋を持って歩く人がいる。
ちょうどいい、後をついていく。
私がドアに入ろうとすると「燃やすゴミは隣の扉です」と。
うわっ!生ゴミ入ってるから教えてもらってよかった。
ところで、あなたのそれ、指定日じゃないゴミなのでは?
とにかく無事ゴミ出し成功、おめでとう。
前に歩く人、うわー、後ろの人に見つかったなんて、
あわててたかな。
まるで「うわー」と「うわー」が吹き出しにあるみたいやね。
マンガやなあ。
★「質問」
 相談支援員さんから「あまり詳しくないので」と前置きしての質問。
「ロービジョンって何ですか」
仲間内で当たり前に使う言葉だが、色々気づかされる。
そのことを夫に話すと「俺も知らん」
なんでだぁー!!私、ロービジョン歴16年だよ。
あるある、家族ってそういうもんかもね。
うちもそう。
俺も知らん、でもわかってくれてることも、きっとあるよね。
ちなみにダーリンの口癖は「知らんがな」
★「追伸」
 さすがにばてた。
とりあえず空き部屋に荷物を押し込んだ。
これからはゆっくり片付けしようっと。
ええやん、それで。
1回ばてたから、ばてるまでがんばったからいいよね。
この際、これからはばてないでいこう。
そうだ、必要なものだけ取り出して、あとは触らずキープ。
これ、次の引っ越しの準備になるかな。
ーー
 新しい土地で暮らす、とてもエネルギーのいることですね。
見えにくい中、それを何回も経験されている藤紫さん、
「なんで?、まさか?、そんなの知らなかった」などお便りを読むだけでも大変そう
ですね。
お便りを受け取ったグレージュさんは、藤紫さんのつぶやきの場面を想像して、肯い
たり、心配したりしながらつぶやいておられます。
色鉛筆では誰かの声に誰かが声をかける、そういう企画をこれまでにも配信していま
す。
「弱視あるあるを共有する」企画はシリーズで配信しました。
先日、医療関係者のおひとりから、
「色鉛筆のレポは寄り添いがすごい。どのレポにもそれを感じる」
というお声をいただきました。
このお声を力に生まれた「つぶやきにつぶやいて」企画、またいつか。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2021年5月21日
☆どうもありがとうございました。


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