メルマガ色鉛筆第120号「こんなことやってみた。すると・・・」~ヨガ編~
タイトル 「こんなことやってみた。すると・・・」~ヨガ編~
ペンネーム きらら(30代 女性 弱視)
レポートの要旨です。
ヨガやピラティスは、お手本を見てその動きを真似るというエアロビクスのよ
うな考え方ではなく、
インストラクターの言葉に耳を傾けながら行うエクササイズです。
だから、弱視の私でもやりやすいと感じていました。
ところが、私、視覚障害者向けヨガと出会ったんです。
やってみたら満足度が半端じゃなくて、
このワクワク感、皆さんとシェアしたいと思います。
ここから本文です。
最近、視覚障害者向けのヨガイベントがあちらこちらで開催されています。
私はいつも姿勢が悪い状態でデスクワークをしているので、
姿勢を伸ばす動きが多いヨガをすると体がすっきりします。
一般のジムで行われている晴眼者向けのヨガプログラムにも参加できていたし、
楽しむこともできていました。
わざわざ視覚障害者向けのヨガなんかやらなくっても・・・、最初はそんなふう
に思っていました。
あるとき、視覚障害者向けのヨガであるチャレンジドヨガに参加しました。
一言で言うと、「100%参加できた!」です。
この感覚、久しぶりでした。
私は、視覚障害者になってもう12年ぐらい経ちました。
最初は視覚障害者としての生活に戸惑いもありましたが、
もうすっかり自分自身の一部に視覚障害者というアイデンティティがあります。
慣れとはこわいものですね。
いつの間にか、いろいろな活動に50%ぐらい参加できていれば満足するように
なっていたように思うのです。
例えばジムでのヨガプログラムは、いくら言葉で動きを説明するといっても、
それは晴眼者を対象とした場合の説明です。
私にはインストラクターの動きがまったく見えないのに、
その説明の中には視覚障害者にとって必要な説明の50%ぐらいしかありません。
どういう動きなのか、そもそも十分には伝わってこないのです。
それでも、ほとんどできないエアロビクスのプログラムに比べれば50%も参加
できているのだから、自分自身は満足しているのです。
でも、あとの50%は内容がわからずに終わっているんですよね。
ところが、このチャレンジドヨガでは動きの説明はもちろん、
それぞれの動きがどこの筋肉に働きかけるのか、その説明があることで姿勢を意
識できるんです。
また、言葉の説明だけではなく、2人1組になって行う動きを取り入れることで、
他の人とコミュニケーションをとりながらもしっかりエクササイズができたんで
す。
100%参加できるってこんなに楽しかったんだ!
見えていた頃に感じていた満足感、その世界を思い出したことに感動しました。
この感動、翌日訪れる筋肉痛をもってじわっと体感できますよ(笑)。
今回のテーマは、「こんなことやってみた。すると・・・」でしたね。
私はなんでもやってみたい!と思うんですけど、
視覚障害のために周りの人に迷惑をかけたらどうしようという臆病な気持ちもあ
ります。
そういう意味では、視覚障害者向けプログラムがあると一歩を踏み出すきっかけ
になりますね。
こんなことやってみた。
すると「意外とできた!」とか、「もう二度とやりたくない!」とか、
自分自身にいろいろな感情が湧き出ることもおもしろいと思っています。
先日体験したボールボクササイズでは、
「インストラクターになってみませんか?」とインストラクターさんからメッセ
ージをいただき、本気で考えちゃいました(笑)。
さて次は、この100%参加できるチャレンジドヨガが地元でも定期的にでき
るように、
そしてこの感動を視覚障害のある子どもたちにもっと味わってもらえるように、
次から次へと思いを巡らせています。
春の風の中、新しいことを描いては思わずにんまりしている今日この頃です。
編集後記
見えないのにこれだけできたら十分だろう、
誰に言い渡されるでもなく、いつの間にか自分の中にできていた無意識のあきら
めライン。
ここまでできたらハッピーというラインは人それぞれだけど、
そういえば見えていたら違ってたかな?という気づきは新しい世界を広げるきっ
かけになるのですね。
見えてさえいれば・・・と考えるとストレスになるかもしれないことを、
わかる、伝わるってこんなにハッピーなんだ!とストレートに感動できるって気
持ちがいいですね。
思いきり筋肉を伸ばすときのように、春の風を思いきり吸い込みゆっくり吐き
出すように、
自分の心と体の中からハッピーが感じられる挑戦レポ、じわっとお届けしました。
「こんなことやってみた。すると・・・」、このテーマでまた皆様とご一緒し
たいと思います。
-- このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2018年4月27日
☆どうもありがとうございました。