メルマガ色鉛筆第62号「ほんのりあったか外出エピソード3」

タイトル ほんのりあったか外出エピソード3
 メルマガ色鉛筆編集チームです。
外出エピソード第3弾は、バスでお出かけ編・道行く人編です。
★バスでお出かけ編
 8月の夜でした。
バス停でバスを待っていました。
屋根のあるバス停ですが、傘をささないとぬれてしまうほどの豪雨でした。
雨の音は激しく、「バスの停車音が聞こえるだろうか?」と心配でした。
周りに人がいるかどうかも全くわかりません。
 そんな中、「205号まもなく停車します」と、
大きな車外放送の声とともにバスが近づいてきました。
「乗られるのでしたらまっすぐ来てください。乗車口があります」と、
運転手さんの誘導の声もしっかり聞こえました。
 本当に助かりました。
 1人でバスに乗って出かけたときのことです。
 私はバスに乗り込み、手すりはないかと周囲の邪魔にならないよう気をつけながら手を動かしました。
その瞬間、手をやさしく握られて、
「Sit down,please」の言葉とともに外国人の男性に座席へエスコートされました。
「あっ、ありがとうございます!」と慌てふためいた私は、お礼を言いながら頭を下げました。
 「Thank you」とスマートに言えなかった自分が悲しいですが、
やさしい気持ちは世界共通なのだなあとしみじみ感動しました。
国の違いや障害の有無なんてハートには関係ないですものね。
 本当に感謝です。
Thank you!
 バスの降車時、幼い息子がいつも私の手引きをしながらステップを教えてくれてた。
そして、運転手さんがいつも言ってくれた言葉。
「気をつけて行ってくださいね。降りたらそこ1段あるからね」。
「揺れますよ」とか、「そこの前の席空いていますよ」とアナウンスもくれて、
バスの中も降りた後も心配してくれてた。
 幼い日の息子は、自分と同じようにママの安全を気にしてくれるバスの運転手さんが大好きだった。
 ~運転手さん、いつもやさしい安全誘導、見ている幼子に思いやりを教えてくれてる~
 普段は使わない停留所でバスを待っていたときのこと。
 人が多くて、点字ブロックを探せないままバスを待っていた。
そこにバスが停車した。
何番かもわからないけど、やや後方でバスの乗り口の音がしていたので私は移動した。
 バスに近づくとそれは乗り口ではなく、降り口だったことがわかった。
乗り口は閉まっていて音がなかった。
混雑した車内、先にお客さんを降ろしてから、
バス停に再度停車し乗り口を開くつもりだったらしい。
「前に出します」と身を乗り出した運転手さんの声が聞こえたので、
私は再度バス停に戻り、無事にバスに乗り込んだ。
 降りる際、
「すみませんね。慌てさせて」と運転手さん。
申し訳ないって思ってくれたこと、あったかいって思った。
 ~運転手さん 観光客 多言語対応 大変そう
どんなに忙しくても ちゃんと見ていてくれる
そんな気持ちに 明日も支えられてく~
★道行く人編
 駅員さん、バスの運転手さん、市民の皆さん、
家を出て帰るまでに8回もお声かけいただきました。
「お手伝いしましょうか」「どこに行かれますか」「1人で大丈夫ですか」など、
様々なお声がありました。
 街中の大通りでも意外に人通りが少ない場所があります。
 たまにしか行かないお店、花屋さんに行こうとして、
店の近くまでは来ているのですが、自分では見つけられません。
こういうときが見えない不自由を感じるときです。
 通りがかりの人にたずねたいのですが、
自転車がさぁっと走りぬけるばかりで、歩行者はゼロです。
そこで、やむを得ず走ってくる自転車の人に声をかけます。
すると、ちゃんとブレーキをかけて止まってくれるのです。
 実は、こういうことは1回かぎりのことではありません。
人気のない住宅地で迷ったときなど、今まで何回か自転車の人に止まってもらって助けてもらいました。
 妊娠中、大きなお腹でドシドシと、杖もやや振りにくい感じで歩いていたら、
店先で作業するおばちゃんが「どこまで行くの。信号を渡るなら一緒に行こう。
自転車が来るから、そこまで一緒に行こう」と声をかけてくれました。
おかあちゃんみたいな気持ちで、私のお腹をかばうように並んで歩いてくれた街の人たち。
「気をつけて行きや。今日も検診か?無事に行ってや」。
あちこちで我が子の無事な誕生を見守ってもらっている気持ちが伝わってきて、
お腹をさすりながら「大丈夫、大丈夫、がんばれる」って言い聞かせていました。
 杖を持ち始めてまだ1年足らずの私の心には、まだまだ障害への葛藤がありました。
心のもやもやを温かく包んでくれたのは、そんな道行く街の人たちでした。
 その後日談です。
 そのときの赤ちゃんは今12歳。
白杖の私がしっかり歩けるところと不安なところを察しながら、
同時に祖母の車いすも押せる力強い少年になりました。
いろんな不自由さを抱えた人たちを電車やバスで見かけるたびに、
見えない私に「ママより大変な人がいるよ」と教えてくれています。
疲れた体に重いカバン、それでも座席を譲れる子になりました。
 息子にはスマートフォンは持たせておりません。
誰かの困りごとに気づけるように。
 3回にわたり外出エピソードをお届けしました。
エピソードは以上です。
 昨年11月15日に実施された第49回白杖安全デーにて、
「ほんのりあったか外出エピソード」シリーズの中からエピソードの一部を発表させていただきました。
 白杖安全デーは、誰もが安心して歩ける街づくりを目指して、
京都ライトハウス・京都視覚障害者支援センター・関西盲導犬協会・京都府視覚障害者協会の4団体共催で毎年開催しています。
今年も、"白杖見たら声かけて「何かお手伝いしましょうか?」"をテーマに、
幅広い市民に対して視覚障害者の安全な外出への理解を広く呼びかけました。
 バスや電車、道行く中のいろんな場面に人の目の温かさがあります。
そして、人に声をかけるというのは大変勇気のいることだと思います。
私たちはそうした大きな愛に支えられ、今日を無事に生きることができます。
見守ってくださるたくさんのやさしさ、勇気あるお声かけに心から感謝です。
 ありがとうございます!
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2016年3月4日
☆どうもありがとうございました。


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