京都発 第1回資生堂メイクセミナーレポート

 7月10日に京都にて第1回資生堂メイクセミナーを実施した。メイクは女性が社会参加する上で必要な身だしなみの一つととらえられており、就活セミナーや新人研修でもメイクスキルに関する内容が盛り込まれている。女性の社会参加とは、就労以外でも、生活のあらゆる場面を意味する。また、地球温暖化が進む中、年中強い紫外線を浴びることから肌の健康を守る必要がある。美しく見せるためだけでなく、スキンケアはあらゆる女性にとって必要なものと考えられる。この点からも、メイクセミナーはスキンケアと、より自分らしさを引き出すためのポイントメイクの2つの柱をコンセプトに、鏡が見えない・見えにくい環境においても、自身でメイクできるようになるきっかけづくりとして大きな役割を果たすと考える。きっかけという表現を用いるのは、セミナー時に習得した情報を日々実践していくためには、必ず見守りを必要とするからだ。学んだスキルが正しく実践できているか、イメージ通りの濃さで必要な場所に必要な分量を塗ることができているか、それを随時確認し、フィードバックを重ね身に着ける必要がある。この観点から、今回のセミナーでは京都ライトハウス鳥居寮の女性職員、京視協職員、開催地担当の晴眼者に、今後のセミナー充実のために何が必要かという問題意識を持ちながら見学していただいた。受講者は、すべてメイク歴、環境、意識の異なるメンバー7名で、セミナー事前アンケートを実施し、受講者の見え方、日常のメイク法、セミナーへの希望などをまとめ、資生堂へお伝えし、当日の配席やセミナ-スタッフ対応に備えた。セミナー後、ふりかえりアンケートを受講者と見学者に対し実施し、メイク事務局で共有していただいた。第1回開催地である京都でのセミナーは、次の開催地にバトンを渡すために何ができるかを念頭に置き取り組んだ。京都でのセミナーまとめを今後のセミナー充実と、開催地の視覚リハ関係者様にご活用いただき、輝く視覚障害女性のQOL向上の一助となることを祈念する。
スキンケアとアイブロウ、アイシャドウ、チーク、口紅といった身だしなみメイクセミナーを体験した受講者と見学者のコメントを一部抜粋し以下に報告する。
★受講者より
・メイク用品や手の動きを言葉で丁寧に伝えようとされていた。
・スキンケア、ポイントメイクそれぞれの意味を明確にされていた。
・自分の指でガイドラインを作り、眉を書けた。
・自分では選ばない色のアイシャドウが使えた。
・クリームアイカラーが使いやすかった。
・眉は難しいと思っていたが、練習すればできそうな気がした。
・当事者団体での定期的なメイクセミナーや生活訓練施設での身だしなみメイクセミナーがあるとうれしい。
・1回教えてもらっただけでは定着しないので、ステップアップも含めて定期的にメイクの連続講習や訓練を受けたい。
・今後のスキルアップとしてアイメイクや化粧直し、しみかくしのセミナーを希望する。
・高齢になると白内障でかすみが深い人も多く、メガネの人は重度弱視と同様のメイク環境。この取組は視覚障害に特化したものでありながら、実は多様な可能性を秘めている。見えにくい人の工夫が、たくさんの女性のメイクの工夫や便利さにつながると期待する。障害特性からの気付き、視覚リハ専門性からの客観性、資生堂さんの安定したメソードがマッチし、相互に実りのある挑戦になることを祈念する。
★見学者から
視覚リハビリテーションで日常的にADL訓練を担当しているものが、セミナーのサポートとして入れば、手の動きや持ち方などの伝え方を補足できるので、セミナー担当スタッフの人員に関係なく、全体をフォローしながら進行できるかもしれない。伝え方については訓練士等伝えることの専門家と一緒に検討できればさらに良い方法が出てくると思う。参加された方の表情がとても輝いていて、使用したメイクの情報を持って帰ることができ、電話予約をすればきちんと対応してもらえるアフターサービスが準備されていたことが、とても良かった。
「あなたにとってメイクとは?」この問いかけに対し「社会参加」「女性としてのエチケット」「しないといられないもの」「人前に胸を張って出るための制服」「オンとオフの違い」「社会人としての身だしなみ」というコメントが寄せられた。このセミナーは受けるという受け身ではなく、当事者、リハ、資生堂のそれぞれの特性と専門性を存分に発揮し、共に創ることを目指して推進することで、双方向に学びと発見を得る実りある挑戦になるだろう。
第1回資生堂メイクセミナー
主催:京都府視覚障害者協会青年部
(担当 石川 佳子)

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まゆげを手で触りながら書いている写真


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