[報告] 日盲連結成70周年記念第71回 全国盲人福祉大会(東京大会)参加報告記

本会会長 田尻 彰
 標記大会は、6月11日から三日間、東京都で開かれ、京都からは29名が参加しました。大会初日は、評議員会及びあはき・スポーツの各協議会の代表者会議等が行われました。二日目午前中の研修会は、「70年の歴史と先人の思いを語る」をテーマに、日盲連名誉会長の笹川吉彦(ささがわ よしひこ)氏や日盲連女性協議会相談役の新城育子(しんじょう いくこ)氏が、日盲連に関わるようになったきっかけや、これまでの活動を振り返って話されました。「切実な課題ほど実現しにくいうえに、時間もかかる。しかし、実現できたときの喜びは何ものにも代えがたい」といった内容が、参加者に感銘を与えていました。
 午後には、全国の代表者が三つの分科会(生活・バリアフリー・職業)に分かれて熱心な討議が行われました。
 生活分科会では、日常生活用具、歩行訓練、65歳以上の介護保険問題をはじめ、障害者差別解消法、同行援護、意思疎通支援事業等について話し合われました。同行援護や日常生活用具給付事業における地域間格差を是正するためにも、国による一定の基準づくりを求める声が多く出されました。また、意思疎通支援事業に視覚障害者を対象とする代読・代筆サービスを早急に加えるよう、国から自治体に指導するよう要望する声もありました。京都市では入院時の意思疎通支援事業が開始されましたが、他の市町村でも実施されるよう、本会としても地域団体と協力して取り組んでいきたいと思います。
 なお、本会からは次の二つの議題を提出し、採択されました。
1.全ての市町村の施設入所者にも、国の責任において日常生活用具が給付されるよう要望する。
2.視覚障害者の特性を考慮し、安全確保が重要な歩行訓練、ADL訓練、個別性の強いロービジョン訓練などの機能訓練において、さらに訓練士が配置され、マンツーマンでの訓練実施がなされるなどの基準の改善を要望する。
 また、バリアフリー分科会では、39項目の提出議案が審議されました。移動分野では、駅の安全対策などを中心に20項目、情報分野では、放送や最新情報機器など19項目についての提出議案を検討しました。
 とりわけ、この大会期間中を通じて、東京オリンピック・パラリンピック大会に備えた共生社会を目指す「ユニバーサルデザイン2020行動計画」の実現に向け、工事が相次ぐ東京のことが分科会以外のあらゆる場で話題になりました。
 今なお、後を絶たない鉄道駅ホームからの転落事故の防止対策については、最も注目度が高く、一日10万人の乗降客が利用する駅対策に加えて、地方の無人駅対策を求める声がありました。それぞれが住む地域での安全・安心対策を求める私たちの声が、まだまだ京都でも組織されていないことを痛感しました。
 街づくりの課題では、視覚障害者の安全な移動を確保するために、音響式信号機の拡充に加え、歩車分離式信号機など、各種最新式の信号機敷設に対する、当事者目線の意見の反映が大切であることが浮き彫りになりました。
 情報保障分野では、全ての情報バリアを解消する「情報バリアフリー法(仮称)」の制定について、東京から提案されました。公職選挙法を改正し、全ての議会選挙・首長選挙においても、選挙公報の発行の義務付けの要望(名古屋市)などに注目しました。また、日常生活に直結した買い物の分野で、コンビニやスーパーなどの「セルフレジ」についての改善提案が日盲連女性協議会などから出されていました。
 職業分科会では、あはき法19条関係、無資格・柔道整復師、療養費などの三療関係の課題に加えて、一般就労全般、就労継続支援などについて話し合われました。三療関係では、あはき法19条の堅持に加えて、受領委任払いへの移行を踏まえた医療費健保払いでの保険取扱いマニュアルの作成を要望する声がありました。一般就労関係では、知的・精神の障害種別では就職率が増加している一方、身体障害者の中でも視覚障害者についてはむしろ減少傾向にさえある中で、障害種別による採用枠を設けて、三療業以外に一般就労する機会の少ない視覚障害者に対する、きめ細やかな就労支援対策を講じるよう要望が出されていました。
 そして、三日目は、秋篠宮(あきしののみや)同妃両殿下をはじめ、多くの来賓の方を迎えて大会式典が開催され、大会議事では運動方針と決議案・大会宣言を提案どおり採択して閉会しました。日盲連の竹下会長は、運動方針の中で、「情報保障、外出保障、教育、職業、弱視対策」等を取り上げ、一つでも多くの課題が解決するように取り組む決意を述べられました。
 なお、今大会において、内助等功労のあった方に贈られる光の泉賞を、宇治地域の今里弘美(いまさと ひろみ)氏が受賞されました。永年、地域団体の会長を努めておられる夫を支えるとともに、ご自身も地域における視覚障害者福祉の推進や市民啓発に寄与されたことによるものです。誠におめでとうございます。
 大会終了後は、会議に参加していたメンバーもツアーに加わり、映画「男はつらいよ」で有名な柴又に移動し、寅さんの実家として撮影が行われたお店「とらや」にて昼食。帝釈天にお参りし、細川たかしさんの歌でも有名な「矢切の渡し」に乗船して情緒を満喫しました。なお、ツアー初日にJR山陰本線が倒木により長時間運転見合わせとなったため、府内北部地域からのツアー参加者の皆さんには、横浜港での大型船クルージングにご参加いただけず残念でしたが、最終日は参加者全員で楽しむことができました。また、添乗した本会職員との交流も含め、皆さんに楽しんでいただけたとの話を聞き、嬉しく思っています。ご参加された方々、それを支えていただきましたボランティアの方々に、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
 なお、来年の第72回大会は、札幌市で2019年5月26日(日)から28日(火)まで開催される予定です。遠方での開催になりますが、多くの方々と共に参加できますことを楽しみにしています。


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