メルマガ色鉛筆第273号「窓辺にて4」

タイトル 「窓辺にて4」
メルマガ色鉛筆編集チーム
 こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
4月よりスタートした「窓辺にて」、連載第4回です。
タイトルをしりとりでつなぎながら、いろんなジャンルの文章が登場します。
これまでに、「点字、地味、ミミ、ミント神戸、ベル、ルビーの指輪、
わらび餅、ちょっとだけよ、夜遊び」の9作をお届けしました。
そのバトンを受けて、今月は「Vivid」、「どないしょー!」と
タイトルがつながれました。
窓を開いてひろがる世界、
見えない・見えにくい中でひろがる世界お届けします。
タイトル 「Vivid」
ペンネーム サクラえもん(40代 男性 弱視)
 僕のこと、"ともだち"が言うには
どこにいても200メートル先からでもわかる、見た目の派手なおっさんらしい
。(笑)
相手を見つけづらい僕にとっては直ぐに見つけてもらえるし
何気に便利だなと思っている。
 そんな見た目の僕なんだけれど、実際はとっても寂しがり屋。
本当はいつも自分の居場所を示し、
誰かに見つけて欲しい、気付いて欲しいと
合図を出しているのかもしれない。
自分なりの工夫というか、願いが自然にこの見た目になっているのかもしれない

生き生きとした「ビビッド」な日常を過ごしたいと思っているのだが、
そんな僕には持病がある。
左眼の視力もその病の合併症で失った。
そして、週3回の人工透析。
人工透析は僕にとって生命の維持装置でもあり
常に隣にいる、言わば厄介なパートナーだ。
やりたくないと思っていても透析は待ってくれない。
絶対にやってくる。
例えば好きな人と旅行に行ったとしてもその土地の透析病院を探し出し
約4時間の拘束を強いられることになる。
どんなに楽しい場所でも、美しい景色を眺めていても、美味しい食事を頂いてい
ても
好きな人と手を繋いでいても頭の片隅には常に『透析』の二文字が張り付いてい
るのだ。
 明るく鮮明な色彩のイメージがある「ビビッド」という言葉。
生命感が溢れ、凛とした生き方、決して見た目だけの派手さだけではなく
もっと人として中身のはっきりとした鮮明で魅力的な「ビビッド」な人に、
僕はなりたい。
 「どうしたら"ビビッド"な人になれるんだろ?」と問いかけてみる。
ひょっとしたら自分自身で輪郭を作り上げるのではなくて
自分の周囲にいてくれる人たちによって僕自身の輪郭が形成されていくのかもし
れない。
そのためには僕自身が相手の立場や気持ちになって考え、
相手に寄り添い、歩み寄る気持ちを持って行動できる自分でありたい。
その思いを言動に生かせる自分でいたい。
そうすることによって、沢山の人たちや同じ障がいを持った仲間や
同じセクシャリティーの友人との出逢いや絆を得られるのかもしれない。
セクシャリティーのくくりや、そのくくりの中でさらにマイノリティーな僕にだ
って、
誰にだってどんな人にだってそれぞれの自分らしさや色を、
生まれながらに持っている、僕はそう思う。
個性とはその人、唯一なもの。
生まれ育ってきた環境やその中で培った性格、人間味。
人生での悩みや挫折、それらを経験し乗り越えてきた経緯から今の自分が存在す
る。
 これからも視覚障がい者として何事にも前向きな自分でありつつ、
いきいきと「ビビッド」に生きて行く
そんな自分でいたい、そう切に思っている。
ー-
 ひょっとしたらいきいき、そう思える瞬間があります。
一方、いきいきした自分につながることなんて微塵も浮かばない時もあります。
それでも、やっぱりビビッドな自分でいたい、そう思えるところに心が動くよう
です。
それもきっと周りにいる誰かが何かしらの輪郭を描き出しているのかもしれませ
ん。
もちろんビビッドに。
タイトル: 「どないしょー!」
ペンネーム ちょっとだけブルー(70代 女性 弱視)
 どないしょー!
最近、物忘れが激しい。ボケてきたか?
今までなら、点字や音声メモがとれなくても
日にちや時間、場所くらい覚えるのは何でもなかった。
今は聞いた尻から忘れてる。
「えーっと、10時やったかな?10時30分か?どっちやったかな?」
人の名前を覚えるのも得意だったのにさっき聞いたばかりの名前をもう忘れてる

しょっちゅう会っている人の名前が出てこない。
どないしょー!笑ってごまかすか。
忘れ物も多い。
家を出るとき携帯持って出るの忘れるし、傘やハンカチなんてしょっちゅうだ。
訓練の教室や自習室に必ず何か置いて帰る。
先生から、
「皆さん、最近忘れ物が多いですよ。机の上などしっかり手で確認しましょう。

とのお達しがあった。
はい、しっかり確認しているんですけどねぇ。
どうも私の持ち物はかくれんぼが上手みたいだ。
訓練終えて家に帰ると先生からメールが届いてた。
「色鉛筆の『窓辺にて』の原稿いただいてましたか?まだ届いてないようなんで
すが」
あっ、忘れてた。やっちまった!
慌ててパソコンを開く。
えらいこっちゃ。どないしょー!
ー-
 どないもこないもしゃーないなあ、困ったなあ、
そんなことは見える見えない見えにくい関係なくやってきますね。
どないもこないもどうってことないなあ、どうにかなるや。
忘れてても大丈夫、今日もブルーさんは御無事です。
そして、色鉛筆も無事にバトンリレー、いけました。
この調子、これからもこの調子で、忘れながらボチボチで。
 さて、次回の窓辺から、どんな世界がひろがっているでしょうか。
シリーズ第5弾でご一緒しましょう。
 -- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2022年8月5日
☆どうもありがとうございました。


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