メルマガ色鉛筆第248号「彼のためにスクラム」

タイトル 「彼のためにスクラム」
ペンネーム チュニジアンブルー 60代 男性 弱視
レポートの要旨です。
 人生にはまさか、という坂道もある、とは誰の言葉だったかなあ、と物覚えの悪い
チュニブルは首を傾げる、
でも、同世代で、あの人のいいサブマリン・イエローがいきなり、住んでいたアパー
トから追い出される危機に見舞われてからの日々は忘れない。
そして彼を守るために立ち上がった人々のことも。
 ここから本文です。
 彼との出会いは、2年程前に遡る。
「チュニブルさん、障害年金のこととかで困っている人がいるよ」と紹介された。若
い頃から少しずつ目の病気が進行したが、勤め先の理解もあり、何とか60過ぎまで
働けていたサブマリさん。
そしていよいよ障害年金を申請したくなるほど病気は進んだ。
そんな時に彼と知り合った。
問題は彼がこの病気で初めて医療機関を受診したのがいつで、どこの病院だったか、
ということ。
いわゆる「初診確定」というやつだ。
これがなかなか確認できず、結局、断念せざるを得なかった。
それでも、私が用いる折り畳み式のローラータイプの白杖の予備を貸すと、たちまち
気に入り、「これで安心して外が歩ける」と喜んでくれた。
行政などと当事者の間に入り、各種の手続きを代行したり、相談にも無料で乗ってく
れる、全国的な制度である相談支援事業所の仕組みを説明、紹介すると早速契約して
、暮らしやすくなったと喜んでくれた。
 そんなある日、彼が明らかに浮かない声と表情で、多分、悩みごとを口にした。
聞けば、アパートの大家に目の病気が進行して手帳の等級もあがったことなどを説明
したら、なんと出ていって欲しい、期限は半年後、と言われたというのだ。
しょげてる彼を前にして、その大家に猛烈に頭にきた。
 とりあえず、弁護士会の法テラス、無料で弁護士さんが相談に乗ってくれる機関を
紹介した。
さらに法務局の人権110番にはわたしが電話で相談した。
そのうち、大家はサブマリさんだけでなく入居者全員の立ち退きを求めてきた。
こんな時、相談支援事業者さんは彼の相談相手になり、さらに彼が住む自治体の社会
福祉協議会は大家と彼の間に入り、彼の言い分を伝えてくれた。
弁護士さんは裁判になれば勝てますよ、と力付けてくれた。
最終的には社会福祉協議会が公営アパートを見つけてくださり、引っ越しには相談支
援事業所の方々も駆けつけ、手伝ってくれた。
 一件落着後、サブマリさんに視覚障害者の集まりでこの経験を話していただいた。
関係機関、彼を心配する方々がスクラムを組み、問題に立ち向かったことを私たちは
理解し、温かいものを感じた。
すごいのは、サブマリさんの前を向く心だ。
引っ越しが終わると、点字図書館に通い始めた。
何と65歳を過ぎてから、点字を習いはじめたのだ。
この分だと、そのうち、色鉛筆さんにサブマリさんが原稿を寄せる日が来るかもしれ
ない。
タイトルはもちろん、「チュニブルよ、点字を学べ」。
【障害年金に関するお知らせ 国民年金・厚生年金保険】
 令和4年1月1日から「眼の障害」の障害年金認定基準が一部改正されます。
以下、改正のポイントです。
★視力障害の認定基準を改正
 良い方の眼の視力に応じて適正に評価できるよう、
「両眼の視力の和」から
「良い方の眼の視力」による認定基準に変更。
★視野障害の認定基準を改正
これまでのゴールドマン型視野計に基づく認定基準に加えて、現在広く普及してい
る自動視野計に基づく認定基準も創設。
求心性視野狭窄や輪状暗点といった症状による限定をやめて、測定数値により障害等
級を認定するよう変更。
自動視野計の導入に伴い、ゴールドマン型視野計に基づく認定基準の整理を行うと
ともに、視野障害をより総合的に評価できるよう、視野障害についても1級及び3級
の認定基準を規定。
★眼の障害で2級または3級の障害年金を受給されている方は、今回の改正によって
障害等級が上がり、障害年金の金額が増額となる可能性があります。
障害等級が上がる可能性がある方は、額改定請求の手続きをお願いいたします。
なお、今回の改正によって、障害等級が下がることはありません。
 *眼の障害で障害手当金を受け取られた方で、今回の改正によって3級の障害等級
に該当することになる方は
障害年金を受給できる場合があります。
詳しくは、お近くの年金事務所や年金相談センターまでお問い合わせください。
編集後記
 一人だと困り果ててしまう、先が見えなくて闇の渦に引きずり込まれそうになる、
突然にそんなことが自分の身の上に起きたらどうなるでしょうか。
誰かにそのことを伝えることができるでしょうか。
おそらくそれができる人もいるし、できない人もいるだろう、そんなことを考えさせ
られました。
サブマリさんの周りには、スクラムにつながるような縁がありました。
それをこうして伝えてくださったチェニブルさんもいました。
 織りなす縁の一つ一つは一人ひとりでもあり、ちょっとした情報でもあります。
 ひとりぼっちで誰にも声を伝えられない今を過ごしている人が、きっといます。
「彼のためにスクラム」を力に「まだ見ぬ誰かのためにスクラム」へ。
色鉛筆も読者の皆様も、きっとスクラムの一部分になれますよね、今も、いつかも。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2021年11月26日
☆どうもありがとうございました。


現在、シンプルな表示の白黒反転画面になっています。上部の配色変更 ボタンで一般的な表示に切り換えることができます。


サイトポリシー | 個人情報保護方針 | サイトマップ | お問合せ | アクセシビリティ方針 | 管理者ログイン