メルマガ色鉛筆第241号「二人歩き、また楽しからずや」

タイトル 「二人歩き、また楽しからずや」
ペンネーム チュニジアンブルー (60代 男性 弱視)
レポートの要旨です。
 ある日、相談支援事業所からかかってきた一本の電話。
「誰か一緒に歩いてくれる方は、いませんか。」
頼まれれば、嫌とは言えない。
そんなかっこいいことではないけど、視覚障害者の男二人、半袖の腕を心地よく撫で
ていく風を楽しみながら街を歩き、そしてウォーキングが終われば、居酒屋で…。
そんなオッちゃん2人の道中記です。
ここから本文です。
 ある日の午後、電話が鳴って出たら、
「チュニブルさん、とても元気な視覚障害者の男性がいらして、ウォーキングやラン
ニングを一緒にしてくださる方を探しているんだけど…。」
電話の主は若草色さん。
私もお世話になっている相談支援事業所のとても頼りになる相談員だ。
そして何かあれば、お互いに助けあうパートナーでもある。
視覚障害者になりたての方が役所に障害福祉サービスの申請を行ったり、同行援護の
事業所とやり取りする場合など、無料で書類の作成から提出までしてくれるのが、全
国どこでも利用できる相談支援事業所だ。
この制度を知らない方が意外に多い。
 さて、若草色さんからのリクエストとあれば、なんとかしないとなあ。
とりあえず、その当事者の方に会ってみた。
彼は日本一のリンゴの生産量を誇る、あの県のご出身。
アップルレッドさんとするが、おくにことばの津軽弁が耳に心地良い70代の快男子

この人とは、美味しいお酒が飲めそうだ、と直感したチュニブル、
「分かりました、私が中心街の点字ブロックがあるところをご案内しましょう」と即
答した。
 そして最初のウォーキングの日、2人の歩行はこんな感じで展開された。
私が背負うリュックサックに彼がつかまり、一緒に進んでいく。
私は折りたたみの先端はローラータイプの白杖を肩幅に振って歩く。
こうすれば、私のうしろを歩くレッドさんの安全も確保できる。
事故防止のため、点字ブロックのある、中心街の歩道にコースを限定して、横断歩道
では音響、もしくは他の歩行者の動きや車の動きを総合的に判断して、確信が持てな
いときは通りがかりの方に、積極的に援助依頼を行うことにした。
 初日から手帳で1級の2人のウォーキングは快調そのもの。
だけど、時々、ものすごく元気な彼のつま先が、私の踵に接触する。
やるなあ、レッドさん、そういうことなら、とこっちも本気で早足で歩く。
汗が心地良い。
そしてウォーキングの後の琥珀色の液体と泡が、五臓六腑に染みていく。
うーん、美味い。
 こうしてときどきのウォーキングを楽しむようになった。
 情けは人のためならず、とも言う。
アップルレッドさんのおかげで、不肖チュニブルは、健康増進と、ボランティアの真
似事ができているのと、美酒に巡り会えた。
彼があゆんできた人生のさまざまを聞くのもとても勉強になる。
これからもオッちゃん2人、楽しく、安全に歩いていきたいなあ。
編集後記
 登場人物は3人、場面は日常の暮らしている街、テーマは人のつながりやあたたか
さ、そして細部への心配り。
そんなドラマのようでもあるこのレポートが、見えない・見えにくい人のリアルな日
常レポートだということを、うれしく思いました。
だよねっ。
 美酒はチュニブルさんへのふさわしいごほうびだとも思います。
どうぞ次回もごほうびを。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2021年9月10日
☆どうもありがとうございました。


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