メルマガ色鉛筆第211号「ラジオから月」

タイトル 「ラジオから月」
ペンネーム 白うさぎとかくれんぼ(50代 女性 弱視)
★レポートの要旨です。
 2020年って数字の中に○が二つ、
ついでにオリンピックイヤーだったわけだから○は5つ、合わせて○が7つなんて、
なんだかそれだけでいい年っぽいけど。
コロナ禍でたいへんになってしまって、ちゃんといいことも起こってるのかしら、ど
うなんだろうなあ。
 ところで、お月さんは昨日もなかったなあ、今日もない、明日はあるのかな、そも
そもあるけど、私見えてないのかな。
そんなふうになんだかまるいものが気になる私。
お月さんとかくれんぼしてるみたいね。
つい、1日1回お月さんのことを考えてしまうの。
そんな秋の夜、ラジオからこんな声が聞こえてきたの。
ねえ、一緒に聴いてくれる?
★ここから本文です。
 DJのホワイトラビットです。
今夜は月をテーマにリクエストを受付中です。
では、お次はラジオネーム「瑠璃色の竜頭蛇尾ンチ」さんから。
 実は私、5日前くらいまでこの曲を知りませんでした。
夜中眠れない日があってぼんやりと深夜のラジオを聴いていたところ、Superflyの曲
が流れてきました。
すると歌詞が私の心にじんわりと響いてきたんです。
私、人との出会いのありがたさを見失っていたんです。
でも、この曲が忘れかけていた思いを蘇らせてくれました。
というわけで、リクエストはSuperflyの「輝く月のように」をお願いします。
 DJのトークの後に曲がフルで流れてきた。
この曲いいよな。
なんだか久しぶりに聴いたなぁ。
アイフォンのプレイリストから、「輝く月のように」を引っ張り出してみた。
イントロが流れる中、ラジオCMが終わり、再びDJがリスナーからのメールを読み
始めた。
 ハーイ、DJホワイトラビットです。
今夜は月からイメージする曲とそのエピソードをリスナーさんからのコメントととも
にお届けしております。
リクエストはまだまだ受付中、お待ちしてまーす。
お月さんの曲ということで「輝く月のように」お届けしました。
しっとりしみますねー。
瑠璃色の竜頭蛇尾ンチさんからのメール、実はもう少し続きがあるんです、読みます
ね。
 私は数年前に視覚障害者になりました。
晴眼者の頃は、正直、あまりいいお出会いはなかったです。
私が見えなくなったと知ると、かつての友人、知人の多くが私から離れていきました

厄介だなと思ったのでしょうね、「来るもの拒まず。去る者追わず」です。
そんな過去のことは今の私にとってはどうでもいいことです。
とにかく今の私があるのは良き数々のお出会いからなんです。
私という存在を認めていただき、理解していただき、助けていただきました。
温かくやわらかく優しい温度で接していただいてるからこそ、今の私があると思って
います。
これまでの私はというと、他人様なんて全く信用しておりませんでした。
数々の裏切り、陰謀、詐欺、辛酸を舐めてきました。
そして、正直他人様に頼ることなく一人でも生きていけるというスタンスでした。
もしかしたら今でも少しはそんな気持ちがあるのかもしれません。
だから、人間不信、自律神経がやられたりすることもしばしばあります。
でも信頼する心がないと他人様には伝わらないですよね。
わかってはいるんです。
けど私は他人様との壁を作ってしまうんです。
 一方、視覚障害者どうしというだけでなんとなく共有できるものがあるんですよ。
 弱視、全盲と実情はそれぞれなのに、空気感というか声の表情というか、同じ痛み
を分かち合える心があるというか、なんか妙な連帯感みたいなものがあるんですよね

 私はお出会いした人たちに何かしらの力をいただきました。
私に持ってないものもたくさん見せていただきました。
目標に向かって進んでいく前向きな姿も見せていただきました。
悩み苦しみ、もがいていた時期があったということも聞かせていただきました。
十人十色、それぞれ個性的な人たちは、「月」のように柔らかな光で輝いています。
この曲の、「誰かを頼る心、強く信じる心 きっと、あなたに出逢ったから素直にな
れたんだ」ここが、じわーっと沁みるんです。
縁あってお出会い出来た人達に、今偶然出会ったこの歌を捧げたくて、メールしてい
ます。
精いっぱいの感謝の意を込めて。
 竜頭蛇尾ンチさん、メールありがとうございました。
ラジオから偶然流れた曲に魅かれて、今回メールをいただいたということなんですが
、それにしても、うーん深いお話ですねー。
目がご不自由ということなんですけど、このメールに力強い光をもらいましたよ。
Superflyの代表曲「愛をこめて花束を」もパワフルですよね。
ボーカルの越智志帆の圧巻の歌唱力と同じくらい、竜頭蛇尾ンチさんからパワーもら
いました。
ありがとうございました。
 続いてのメールは、東南西北アイランドさんから、「月光浴」柴田淳さんの曲にリ
クエストをいただきました。
 番組はまだつづいているけど、静けさがほしくてラジオのスイッチを切った。
かくれんぼの続き、窓を開けて森の方向に眼をやる。
あれかな?、なんだかまるそうなものがあるような、ないような。
あれ、月なのかな、それとも街灯なのかな。
答え合わせもできないや、フー、どっちでもいいや。
携帯の音楽プレイヤーをもう1度開いてみる。
検索キーワードは「月光浴」、どんな曲かな。
ネットで見つける、そんなかくれんぼもあるよね。
見えても、見えてなくても。
今日もまるいもん探してる私、風は冷たいな。
検索結果からタップ、静かなピアノが流れてきたわ。
ねえ、一緒に聴いてくれる?
編集後記
 ボタンを押すと聞こえて来る。
ラジオは、昼間の活気が静まった夜、部屋に音楽やおしゃべり、そしてメッセージを
届けてくれます。
人にとって大きな出来事は、同じくらい、あるいはそれ以上に大切に思えるものを知
ることにつながります。
見えなくなる、というのもそういう大きな出来事の1つだと思います。
大切なことは誰かと共有したい。
ラジオからそんな思いのこもったメッセージが流れて来るのを、偶然に受け取ること
がありますね。
 ボタンを押すと聞こえて来る。
当たり前のようになっているこのことを、うれしく思える。
そんな自分でいたいと感じさせてくれる白うさぎとかくれんぼさんのレポートでした

-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2020年11月13日
☆どうもありがとうございました。


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