メルマガ色鉛筆第196号「気分転換の手札」
タイトル 「気分転換の手札」
ペンネーム 幸せの黄色いかばん(30代 女性 弱視)
★レポートの要旨です。
おうちライフの過ごし方がいろいろ提案されています。
今回は家での時間の楽しみ方、手作りマスクの作り方などをお届けします。
★ここから本文です。
私は、先天性の眼疾のため強度の弱視です。
一人暮らしをしながら、図書館に勤務しています。
日常生活では、点字や拡大読書器を使用しています。
私が住む地域では、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛要請は解除
されましたが、習い事や友人と食事に出かけることはまだ見合わせています。
Stay Homeの時間を楽しく過ごすために、気分転換の手札を多く持つことにしていま
す。
クラシック音楽を聴きながら、ゆっくりよくかんで食事をする。
作り置きのおかずを作る。
色々な入浴剤でお風呂に入る。
電話やスカイプで友人と話す。
などなど。気分に合わせて好きなカードを選んでやっていくと、充実した時間を過
ごすことができ、心が癒されます。
落語やデイジー図書を聞きながら手芸をする、「ながら仕事」をします。
疲れている時や体調が優れない時は耳で聞くだけにして楽しみます。
私は裁縫・粘土細工・紙細工などの物作りが好きです。
最近は、布でマスクを作っています。
見えなくてもできる工夫をし、自力では難しい工程を家族やヘルパーさんに手伝って
もらいながら、裁縫もしています。
糸通し器を使えば、見えなくても楽に針に糸を通すことができます。
巾着袋のひも通しのように、正確に真っ直ぐ縫う必要がある時は、製本テープを貼り
、触って確認しながら縫います。
鉛筆で描いて形を作ることが難しい自分にとって、私たちになじみ深い点字用紙が
優れものです。
思い描いたように用紙を切って、フリーハンドの型紙を作ります。
点字用紙は厚みがあって扱いやすく、いらない用紙を使うので、納得がいくまで切り
なおすことができます。
布の裁断については、寸法を測って切ることは難しいので手伝ってもらいます。
型紙をまち針で布に固定して自分で切ることもありますが、うっかり型紙も切ってし
まうことがあります。
時間がかかる上に不備が出てくるので、裁断はサポートを得る方が良いと感じていま
す。
生地の裏表は、自分で判別できないことがあります。
完成に近い頃に、裏表逆になっていたことを教えてもらうという悲しいこともあった
ので、縫う前に聞いて確認するようにしています。
今、作っているマスクは、点字用紙そのまま1枚を型紙にして作ることができます
。
好きな色・柄の生地で作ると、おしゃれに身に着けることができます。
レシピをご紹介します。
長方形の大人用サイズのマスクです。
【材料】
薄手の木綿生地 縦25cm×横40cm
ゴムひも
ラッピングタイ(パンや菓子の袋を閉じる針金) 1本
布は、点字用紙を縦長に置き、2枚を横に並べた大きさです。布を2つに折り、1
枚の用紙を型紙にすると裁断することができます。
ラッピングタイは、鼻にフィットする部分に使います。100円ショップのラッピ
ングコーナーなどで入手できます。食品の袋を閉じていたものを再利用する場合は、
平らに整えて使います。
【作り方】
①布の表を内側にして半分に折り、5mmから8mm内側を縫います。
上の短い辺の端から5cmくらいのところは、縫わずに開けておきます。
②上の辺の5cm縫い残した部分から、布をひっくり返します。
角が出にくいので、まち針で内側からつついてできるだけ角を出します。
平らな場所に置き、両手のひらを使ってしわをのばします。
③縫い残した5cmの部分を内側に織り込み、爪でしっかり押さえます。
この口から、ラッピングタイを入れて、縫って口を閉じます。
④先ほど布の中に入れたラッピングタイを、上の辺に沿って真っすぐ置きます。
ここがマスクの上になります。
上の辺を1.5cmくらい折り、爪でしっかり押さえます。
折った部分の端を縫います。
⑤布を折って、ひだを3つ作ります。
ひだを作る場所を決めたら、爪でしっかり抑えて左右の端をまち針でとめます。
この作業は一つのひだを作るための1セットの作業となります。
マスクの上から順に3つひだを作るため、3回この作業を繰り返します。
⑥左右の両辺をしつけ糸で縫います。
しつけ糸は一時的にとめておくための糸なので、完成した後に引っ張って簡単に取り
除くことができます。
⑦左右の両辺を1.5cm折り、2,3箇所にまち針をとめて縫います。
頑丈にしておきたい場所なので、かえし縫いするか糸を2本取りにして細かく縫いま
す。
⑧ゴム通しを使って、ゴムを通します。ゴムの長さを決め、端と端をしっかり結びま
す。
ゴムを引っ張って、結び目をゴム通しの中に入れ込んだら完成です。
【プラスアルファー情報】
四隅を縫ってひっくり返した布のしわをのばす時やひだを作る時、使い慣れている
方は、アイロンを使うと便利です。
布を爪で抑える時は、爪を立てて端から端までぐーっと一気に抑えるのでなく、「
コリコリコリ、コリコリコリ…」というリズムで少しずつ押さえていくときれいに
できます。
ひだを作る時は、三つのひだの幅を厳密に測る必要はありません。自分の感覚でだ
いたい同じくらいの幅になれば大丈夫です。時々、真ん中で折って、マスクの左右の
高さが同じになっているか確かめながら調整していくと良いです。
納得いかなければ、両手のひらでしわをのばすかアイロンをかけることで、ひだを作
り直すことができます。
ゴム通しがない場合、ヘアピンにゴムを挟んで通すこともできます。
ただし、V字の形状をしているために中でひだにひっかかることがあるので、通りや
すい方向から探りながら通します。
自分流の工夫をして、時には人の手や目を借りて、ぜひすてきな手作りライフを!
最後に、マスクを作りながら最近読んだ本をご紹介します。
日本テレビ政治部著
『ドキュメント「令和」制定』
中央公論新社 2019年7月(デイジーあり)
元号の制定に関わった政治家や有識者の動向を追ったドキュメンタリーです。
知られざる内幕が読める興味深い一冊です。
編集後記
新しい生活様式に慣れる、提案していく、そんな文言を報道でよく耳にします。
外出自粛生活を経験する中で、長年の宿題にとりくんだという声も聞こえてきます。
みんな考えることは同じなのか、長年の宿題が似ているのか、ゴミやリサイクル、物
流がパニックに。
そんな中、「心静かにウィズコロナ」で布マスクの作り方をご披露いただきました。
この情報は災害時の備えにもなりますね。
かわいい手作りは作る時も使う時も癒しをくれるようです。
令和の幕開けには思いもよらなかったことが、見えない・見えにくい私たちの生活の
中に起きています。
今後も色鉛筆で2020年の今を共有していきます。
このメールの内容は以上です。
発行: 京都府視覚障害者協会
発行日: 2020年6月12日