メルマガ色鉛筆第191号「言われていやだった一言」

タイトル 「言われていやだった一言」
メルマガ色鉛筆編集チーム
こんにちは。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
見えない・見えにくい仲間同士、わいわいおしゃべりすることありますよね。
また、相談したり、されたりもあるかもしれません。
そんな中、仲間から言われて傷ついた、悲しくなった、腹立ったなんて話もちらほら
聞こえます。
今日は、そんなしょんぼりエピソードをお届けします。
★決めつけにうんざり
あなたには家族があるからいいよね。
若いからできるよね。
お母さんと同居だから助けてもらえるよね。
ちょっとでも見えるからいいよね。
恵まれた条件だと決めつけられてうんざりします。
こうなると実情を説明しようという気が失せます。
★誰にどうみられるか、気にならない人にはわかんないだろうな。
シンボルとして杖を出せば安全確保につながる、そんなのはわかってるけれど、杖を
持つ自分が受け入れられない。
障害者の自分を周りに知らせる、明らかにするのが嫌、抵抗がある。
すごく嫌、知られたくない。
そんなことより怪我しないように杖持たなあかんときつい言い方をされた。
葛藤する気持ちまで否定されてるようで、もう関わりたくないと思った。
★単独歩行、それがありえないことなの?
いつも通いなれた総合病院。いつもの診療科まで、会計や受付、検査室も自分で動け
る。
でも、いつもとはちがう他科移動がある時は「一人で来られたんですか」と、看護師
さんに言われる。
急な調整でガイド利用ができなかったことや、あまり他人に知られたくない受診だっ
たことがその理由だ。
そんな話をしていたら、
「私はどこに行くにもガイドさんにお願いするよ、一人で行こうなんて思わへんわ。
周りに迷惑かけるし」
と言い捨てられました。
単独歩行を好むのって、悪いことなのかな。
★せめて一度だけでも「見えたころ」がほしかった。
パズルにチャレンジしてる時、
「見えてないのにすごいわねー」
と言われた。
別に気にしてなかったけれど、次の一言で私の心に穴が開いた。
「私も見えてた頃はできたんだけどね」
その人は弱視。
弱視の人のいう「見えてた頃」は大体が健常者としての経験。
私は先天性の緑内障で弱視として生まれた。
だからいわゆる晴眼者の「見えてる」が分からない。
それが、いつも悲しかった。
親を憎んだこともある。
せめて一度だけでも「健常者の見えてる」になってみたかった。
同じ視覚障害者でも健常者の見え方を知っている人が羨ましかったし、正直なところ
をいうと妬んでいた。
私も「見えたころ」がほしかった。
ただそれだけです。
★仲間に言われたからこそつらかったのかもしれない
お刺身の盛り合わせの中からいかが見つけられなかった。
「そうかぁ、イカは見えていないんやな」
それは何気ない一言。
あらためて自分の視力の状況を突きつけられたようで心が痛くなった。
同じ障害者だからこそ、その言葉が辛かったかな。
大打撃ほどではないが心が泣いた。
私は何も言い返せなかったし、言い返さなかった。
★刺さって消えない言葉「なんで見えないんだよ」
それはある日の放課後の事でした。
みんなでワイワイしゃべっている時、何かが落ちていたようで、私は気付かずに踏み
そうになりました。
するとある男子から、「なんで、見えないんだよ。○○○!」と、もろに放送禁止用
語を言われました。
その子は片方はそこそこ見えていたのですが、もう片方は義眼でした。
ショックと悔しさと悲しさが一気に押し寄せて来て、気が付いた時にはその子をつき
とばしていました。
同じ“見えない”と言うことを知っているから安心してその子は言ったのかも知れま
せん。
でも心に深く刺さりました。
編集後記
みなさん、教えてくれて本当にありがとう、とまずお礼を言わせてもらいたいです。
そして、これらの声を共有するために色鉛筆があるのだ、とも思いました。
あることばが刃のようにぐさっと心にささること。それは稀に起こってしまう事故の
ようでもあります。
そのことばは安全圏の中にあったとしても、向かう何歩も先が心をよぎって、威力を
増すこともあります。
ぐさりと来てダウンしてしまう。
それでも立ち上がり、再びファイティングポーズを取れるか。
不自由を抱えてやって行くにはパワーが要ります。
立ち上がる力のうちの少しばかりをこうしてみんなで共有することによって作って行
けたらと思います。
私たちにできること、ことばを、上からではなく、距離を置いてではなく、真横から
かけること。このことの大切さを私たちは知っています。
もっともっと広めて行きたいものですね。
このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2020年4月24日
☆どうもありがとうございました。


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