メルマガ色鉛筆第188号「:色鮮やかに描き出せ」

タイトル「:色鮮やかに描き出せ」
ペンネーム:SKY Blue Frog 20代 女性 全盲
レポートの要旨です。
 人生の一大事、結婚をして始まった夫との二人三脚の毎日。
ドキドキ要素満載のこの新生活に、最初こそ一抹の不安を感じたものの、気づけ
ばすっかり慣れ、1年が経とうとしている。
やることを次々とこなしているだけでも、どんどん日々が過ぎて行くけれど、そ
こに夫がいてくれる。
これからも鮮やかに描き出される日々を私たちは生きていきたい。
ここから本文です。
 夫 「わっ!あと5分しかない。急げ!」
 私 「急いだらホームから落ちるよ。あっ、そうそう今日の夜ご飯何にする?

 夫 「久々に茶碗蒸しとかは?」
 こうした夫との暮らしが始まったのは、柔らかなオレンジ色の陽の暖かさを感
じ始めた去年の3月。
私も夫も全盲で、初めての大阪暮らし。
夫は陸上選手で、私は4月から新しい学校に通い始めた。
ドキドキ要素満載のこの新生活に、最初こそ一抹の不安を感じたものの、気づけ
ばすっかり慣れ、1年が経とうとしている。
 私たちのとある1日は朝ご飯を慌ただしくかきこむところから始まる。
メニューは昨日の残りの鮭のムニエルと白和え、味噌汁そして白ご飯。
 9時を回ると夫は仕事に向かい、私はブレイルセンスやら定期やらをリュック
に詰め込み、最寄り駅へと急ぐ。
どうにか電車に間に合い、車内での椅子取りゲームに勝利したところでスマホを
開く。
スマートニュースのアプリを開き、今日のニュースやレシピのコラムを見て過ご
す。
 学校に着いたら授業を受ける頭に切り替えるけれど、時折、今日スーパーで買
う物を考える。
昼になると学食に行き、友達とスタバの季節限定メニューの話をしたり、終了論
文が終わらないことを嘆きあったりと、学生らしいひと時を過ごす。
お腹がいっぱいになり心地よい眠気を感じ始めたところで授業が再開される。
午後の授業は眠気との戦いだ。
授業のコメントを書き終え提出すると、友達と昼の続きを話しながらのんびり駅
へと歩く。
電車に乗ると再びスマホタイムだ。
1日でたまったラインやメールを返し、SNSを覗いているうちに最寄り駅に到着
する。
駅に着いたら、スーパーに直行し定員さんに今日の広告の品を見てもらいながら
買い物をする。
スーパーを出ると右手に白杖、左手に買い物袋をさげフラフラと家路につく。
 家に帰れば暖房をつけ、ご飯を作り始める。
一通り夕食が完成すると1時間ほど仮眠を取る。
そして心地よい眠りから目覚めたところで夫が帰宅。
二人でご飯を食べながら今日1日分の話をする。
ご飯が終わったら私はごろごろしたり、洗濯物をたたんだりとのんびり過ごす。
時折、台所で洗い物をする夫と、1時間後には内容を覚えていないようなたわい
もない会話をする。
それから眠りにつき、また1分1秒を争う慌ただしい朝を迎える。
 たまに時間が合えば、二人で気になっていた映画を観に行く。
ワイファイのある自宅でUD Castのデータをダウンロードすることは、我々にと
って大切な準備である。
また、余裕のある朝は近くのカフェにモーニングを食べに行くこともあるし、夕
飯を作る時間と気力の無い夜は、二人で近くの安くておいしい寿司屋に行くこと
もある。
 ここまで私たちの生活について書かせていただくと、「これは順風満帆なハッ
ピーライフの自慢か何かか?」とお思いになる方もいらっしゃることだろう。
しかし、正直に申し上げてこの生活にも大変なことは多分にある。
二人になったからこそ、一人では存在しえなかった問題が時おり生じるのだ。
ここでは、発表できる程度のソフトな物を紹介したい。
 ある時、夫がシャンプーとリンスを詰め替えてくれたことがある。
だがその時シャンプーボトルにリンスを、リンスボトルにシャンプーを誤って入
れてしまった。
しかもどちらも半分ずつ残っていたため、泡の立つリンスみたいな混合物がボト
ル2本分できあがった。
あいにくその日は、私の虫の居所が非常に悪かった。
「しっかり触れば間違えないでしょ、どっちも使えないじゃん、どうすんのこれ
?」と責め立ててしまったのである。
以後夫は、シャンプーとリンスの詰め替え業務に一切携わらなくなった。
よく考えれば一大事とばかりに騒ぎ立てる必要も無かったことであり、「詰め替
え頑張ってくれてありがとう」と言えればそれで良かったことだ。
あるいは怒った後でも「ごめん」と謝れたならそれで済んだのかもしれない。
そのたった一言が言えないのも家族という近い関係になったからこそなのだろう
か。
 それ以外にも、全くお互いのスケジュールが合わない時期もあった。
2人そろって1日ゆっくり家にいられたのが、お正月になるまで3か月近く無か
った。
このすれ違う日々に辟易とし、家出計画を企てたこともある。
 こんなことがありながらもこうして1年間共に過ごしてきたわけだ。
振り返ってみると、目まぐるしく過ぎる日々の中に、様々な出来事があり、どの
瞬間も喜怒哀楽いろいろな感情が溢れていた。
きっとこれからも元気な笑顔が金色に輝く日もあれば、悲しみに満ちた深い青色
にさいなまれる日もあるだろう。
 これからも、絵具やクレヨン、色鉛筆、色とりどりの道具で鮮やかに描き出さ
れる日々を私たちは生きていきたい。
編集後記
 ドキドキ要素満載のきっと舞い上がってた頃からしばらくが経ち、今は地に足
を付けて夫婦の日々を進んでいる。
そんな今の様子と思いを、レポートにしてくれました。
 点字でノートを取るためのブレイルセンスを持っていたり、店員さんと買物を
したり、映画に行く前にUD Castのデータをダウンロードしたり、といったこと
はありますが、見えないことはワンオブゼム、いろんなことの中のただの1つ、
になっています。
「ごめん」と謝れないのは見えないから? まさか! そんなわけはありませんし

 「あのときはごめん」ともし言えたら、夫婦の絆はさらにもっと強まるかもね
。悪しからず自己責任で試してみてください。
このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2020年3月27日
☆どうもありがとうございました。


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