メルマガ色鉛筆第187号「:大転期~私が京都を発った理由(わけ)」

タイトル「:大転期~私が京都を発った理由(わけ)」
ペンネーム:夢色キャリーケース(40代・女性・全盲)
レポートの要旨です。
 人生の転機が今だと捕らえて大きな決断をする。
京都から地元へ、転職をどう進めるか。
そこには、自分の生きて来た姿勢、成し遂げた成長が詰まっていた。
人生には無駄なことなど何一つないのだとつくづく思い知らされる。
ここから本文です。
 2019年は、私の人生に大転期が到来した年だった。
27歳で故郷を離れ京都へ、社会的経済的自立を目標にがむしゃらに突っ走ってきた

6年の勤務を経て開業という目標を叶え、仕事も生活もそれなりに安定安泰。
ふと気づけば、10余年もの月日が流れていた。
 そして私は40代の扉を開けた。
当然のことながら両親も同じ数だけ年齢を重ねていた。
年が明けてまもなく、父が体調を崩して入院した。
「いつまでもあると思うな、親と金」の言葉をまざまざと痛感させられる出来事だっ
た。
すでに別天地で自分の家族の基盤を築いている弟が故郷に戻るのは現実的ではない。
動くのは私だと密かに決意を固めていた。
 しかし、ただ帰っただけでは何の支えにもならない。
時間をかけて安定した就職先を探そうと考えた。
 そんな1月が終わりに差しかかった頃、友人から1本の電話をもらった。
「今度JR西日本が米子のマッサージルームを新設するにあたり、ヘルスキーパーを
募集しているらしいよ。
誰か地元で知ってる人いない?」と。
私の心意を見透かされたかとドキリとした。
一方で直感が知らせていた。
これは千載一遇のチャンスだ、と。
深呼吸して答えた。
「私が受けても良いのかな?」
電話の向こうの友人は驚きの声を上げた。
安定した生活を送っているのに地元に帰る必要はないのではとも続けた。
が、私の事情や経緯を説明すると友人は納得し、採用試験を受けるよう背中を押して
くれた。
 明くる日から早速、私は動き始めた。
ハローワークへ行き、書類を揃えて送付した。
それから試験と面接を受けた。
そして、無事採用の知らせを受け取った。
 周囲には採用が決まった後に初めて明かした。
誰もを驚かせ突然の別れを悲しみ、また栄転を喜んでくれた。
それはお客様も同じだった。
しみじみと良い友人や仲間・お客様や周囲の方々に恵まれたと感謝している。
もちろん申し訳ない思いはあったが、不確定な状況を話して動揺させたくなかった。
「話してほしかった」と言う人もあったが、どうか理解してもらえれば有り難い。
 また、私のことをサムライだと称した人もいた。
潔すぎる、格好良すぎると。
でも、私はそんな大した器ではない。
今までも進みながらも散々悩んで自問自答を繰り返しながら選択して生きてきた。
 進むべき道が開けると同時に忙しさは加速度を増し、息づく暇もない毎日に突入し
ていった。
4月は本社研修、5月は実店舗研修に懸命の日々だった。
それを終え、6月から本勤務となった。
予定を考えながらの引っ越しや歩行訓練は正直こたえた。
 けれど、新たな環境、新たな出会いは新鮮で心躍った。
何より私が選んで決めた道だから少しの困難くらいと踏ん張れたのだと今は振り返る

突然に全盲となった経験が多少のことでは挫けない精神力を養わせてくれたのかも知
れない。
そう考えると人生には無駄なことなど何一つないのだとつくづく思い知らされる。
 元号が令和に変わる年に京都から米子へ拠点を移すことになったのも何か意味があ
るのかも知れない。
巡り合った偶然はきっと必然で、私の人生に欠かすことのできない宝物だ。
安定した現実をかなぐり捨てて新たな未開の地に進むにはいつでも勇気が必要だ。
何を優先してどう生きたいか、そのために今何をすべきかを考えて動くことが大切だ

きっとその結果が今なのだと思いたい。
それこそが私を支えてくれた京都でご縁あった皆へのご恩返しとなるに違いない。
 人生はお人とのご縁でできている。
一度きりの人生、これまでのご縁とこれからのご縁を日々大切に、お人とのご縁を大
切に大切に、笑って泣いて後悔なく全うしたい。
きっとそのようにしか生きられない。
多分それが私らしさなのだから。
 最後にもう1度、言わせてもらいたい。
京都で過ごした全ての時間に感謝している。
本当にありがとう。
編集後記
 仕事に就き安定を得ること。
出会う人、関わる人を大切にすること。
それらを可能にした心の姿勢、考え方を夢色キャリーケースさんは持ってられます。
そして、人生の道を進む中、そんな心が次の行動に移るよう促します。
 人生の道に正解があるとしたら、きっと自分の道を進んでいるのだと実感できるの
がそれでしょう。
どれだけ成功しているか、は重要なのか、それほど重要でないのか、どうでしょうね

お1人お1人が、これが自分の道だと思えることを願います。
夢色キャリーケースさんの力強いことばの数々に、そんなことを思いました。
このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2020年3月13日
☆どうもありがとうございました。


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