メルマガ色鉛筆第186号「見えない2人での初めての旅行 その2」

タイトル 「見えない2人での初めての旅行 その2」
ペンネーム ブラックポルシェ930カレラ(40代 男性 全盲)
 レポートの要旨です。
 かつてのパートナーとの初めての旅行の話です。
「今は違うの?」なんて野暮は言わないでくださいね(苦笑)。
行先は長崎のハウステンボス、全盲のパートナーとの旅はお互い初体験だったのです

 準備から出発、旅1日目は無事に予定通り優雅なホテルでのひとときを満喫。
さていよいよ2日目、パークへ踏み出したものの点字ブロックのない道です。
 ここから本文、前回の続きです。
 大きな声で援助依頼をお願いしていると、女の子3人が来てくれました。
目的のタウンを伝えると連れていってくれるとのことで、マップを見ながら歩き出し
ました。
初めは高校生くらいかなと思っていたのですが、なんと修学旅行の小学生。
一生懸命ショップを探してくれて、無事に到着。
学校名は聞けたのですが、名前までは聞くことができませんでした。
 後日、東京に戻ってから小学校に電話をかけ、ハウステンボスで助けていただいた
ことを校長先生に伝えました。
「朝礼で話をします」とのことでした。
子供たちが気軽に障害者に声をかけるきっかけになっていたらいいな。
彼女たちのいい思い出になっていたらいいな。
 その後、こちらからお願いせずともショップからショップ、ショップからアトラク
ション、アトラクションからアトラクションへと、
スタッフさんが自然にリレーしてくださったおかげで、効率よくたくさん楽しめまし
た。
昼食を食べた変なレストランではロボットが働いていましたが、一方的に話している
だけのようであまり会話はできませんでした。
 歌劇、体感型アトラクションを楽しんだ後に、できたばかりの疾風というコースタ
ーに向かったのですが、そこで事件発生。
制限体重は90キログラム、大丈夫だと思っていたのですが体重オーバー。
列を逆に戻らなければならず、とても恥ずかしかったです。
デニムにブーツに重いバックルのついたベルト、これだけで2キログラムちょっと、
あとは変なレストランのビュッフェで食べすぎた分2キログラムちょっと。
このせいにしてあきらめました。
パートナーは大爆笑、彼女は単独で無事体験、いまだにこの話題が出ると笑われます

 疾風は森の中を30メートルの高低差をワイヤーに吊られて一気に下るアトラクシ
ョン、
ヘルメット着用で木の枝がバシバシ当たる激しい乗り物だったようです。
今は82キログラムなので、次回はぜひ体験したいです。
 そして、いよいよとても楽しみにしていたフレンチレストランでのディナーです。
ホテル予約時にレストランと送迎の手配をコンシェルジュにお願いしておきました。
ドレスコードがありジャケット着用、パートナーもワンピースに着替えてフロントへ

徒歩でホテルヨーロッパへ向かうものだと思っていたのですが、ワゴン車がホテル前
でお出迎え。
食事が終わる頃にお迎えの方が来てくださるという、至れりつくせりの配慮です。
 ホテルへ戻る途中、イルミネーションの絶好スポットに立ち寄ってくださいました

近くの道路に車を停め、3メートルくらいのバラの壁に囲まれた通路を通って天空の
カフェに到着。
霧雨の中、iPhoneで全ての方向のイルミネーションを撮影していただき、
イルミネーションをバックにツーショット写真を撮ってもらいました。
送迎のスタッフさんには戻っていただいて、ゆっくりお茶をしてからホテルへ戻るこ
とに。
イルミネーションを堪能後、カフェのスタッフにカートタクシーを依頼してホテルへ
戻りました。
 さらにラウンジで少しくつろぐことに。
温かい飲み物をいただき、その夜もバラの香りに包まれて眠りにつきました。
 3日目、朝食を1階のレストランにていただき、そのまま早朝のパークを散策。
自力で戻れる範囲での散策でしたが、人がいないパークを満喫。
自分たちだけの庭園のようで、とてもぜいたくな時間でした。
 チェックアウトし、荷物をゲートまで届けていただく手配と空港までのタクシーの
予約をしてホテルを出発(送迎バスの時間がフライトの時間と合わなかったため)。
カステラの城でカステラと虎巻きを購入。
食べることができていなかったイタリアンと佐世保バーガーを食べました。
このハンバーガー、ボリュームたっぷりでお腹いっぱい。
食べたかったトルコライスとちゃんぽんとレモンステーキはあきらめざるを得ません
でした。
 この日も自然なスタッフリレーでめいっぱい楽しみ、水路のクルーザーでゲートへ
向かいました。
クルーザーの操縦士の方が、案内ついでにお土産ショップでの買い物、ゲートでの荷
物受け取り、タクシーの乗車まで援助してくださいました。
 タクシーの中では2人ともぐっすり眠って、あっという間に長崎空港へ。
空港でさらに大村寿司とコーヒーラングドシャを購入し、空路羽田へ。
あっという間のとても充実した2泊3日の旅行となりました。
パートナーは変わってしまいましたが(笑)、また行きたいと思います。
 チェックアウトの際にコンシェルジュに話を伺いました。
「対応がとても心地よく素晴らしかったのですが、事前にホテルやパークに視覚障害
者だけの客が来ることを伝えていたのですか」。
答えは、「ホテル内のスタッフ全員には周知しておりましたが、パークスタッフには
伝えておりませんでした」とのこと。
 そこで初めてショップやアトラクションやクルーザーやパークのスタッフ全員が1
人1人考えて行動してくれたことがわかりました。
てっきりパークにも周知されていると思うくらいの援助応対でした。
心温まる瞬間でした。
人の優しさにふれ、温かい気持ちでいっぱいになりました。
迷子になっていた時の小学生とのふれあい、ホテルでの極上のおもてなし、パークス
タッフの素晴らしい応対など、忘れられないことばかりです。
 この旅によって「なんとかなる」と強く思えるようにもなりました。
見えていたら経験することのできない貴重な体験です。
視力を失って、できないことやあきらめたことがたくさんありました。
けれど、今の自分だからこそわかる楽しさや幸せ感、できることを少しずつ積み上げ
ていく達成感に気づきました。
この気持ちを大切にしていきたいです。
そして、そういったことに気づくことができる人であり続けたいです。
 編集後記
 今回の旅の中には、たくさんの「~なら」がありました。
~ならどうにかなるんじゃないかとまず仮定する。
その上で動く、調べる、準備する、お願いするなど。
そして、この過程には「そこで~する」と進むステップがありました。
また、その場のときめきを大切に予定変更、その都度必要な配慮を伝えての自己実現
がありました。
 お願いすること、自分たちだけでまずやってみること、
そのバランスのよさが後の人生を支える「なんとかなる」という思いにつながったの
でしょう。
「~なら」から始まる勇気の旅物語でした。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2020年3月6日
☆どうもありがとうございました。


現在、シンプルな表示の白黒反転画面になっています。上部の配色変更 ボタンで一般的な表示に切り換えることができます。


サイトポリシー | 個人情報保護方針 | サイトマップ | お問合せ | アクセシビリティ方針 | 管理者ログイン