メルマガ色鉛筆第160号「まわりを巻き込み、楽しんで」

タイトル 「まわりを巻き込み、楽しんで」
ペンネーム 白と青(30代 女性 弱視)
 レポートの要旨です。
 私の趣味はスキー、スキューバダイビング、水泳です。
見えていたころも見えにくくなった今も、何一つ変わってはいません。
おまけに、今ではボルダリングも追加されています。
 数年前、突然目が見えにくくなりました。
大好きなスポーツがもうできなくなるのではないかと、
一度は気持ちが沈みました。
でも、違っていたのです。
 どうにかしてやりたいことをやっている、そんなスポーツ大好きな私です。
 ここから本文です。
 「やりたいことはやりたい」、「ほしいものはほしい」、「あきらめたくない」、
私は小さいころからそんな気性でした。
 いきなり目が見えにくくなって、大好きなスポーツがもうできなくなる、
一度は気持ちが沈みました。
でも、あきらめたくない、やっぱりあきらめたくない。
そう、何しろ私はあきらめがすこぶる悪いのです。
というか、やりたい気持ちが勝ってしまうのです。
なので、どうしたらできるようになるのかひたすら考えました。
 まず、スキーのお話からしましょう。
視覚に頼ることができない私は、
前を滑る主人にストックをたたいて音を出してもらい、
後ろを滑る娘に斜面の状態を説明してもらいながら滑ります。
 今季も、山形・蔵王温泉スキー場に行ってきました。
ゲレンデでわいわい、声と音を出して滑っているグループは私たちくらいです。
蔵王ならではの樹氷をこの目で見ることはできません。
でも、娘が言葉で教えてくれて、想像することができました。
 どんな斜面か見られないので、もちろん転んでばかりです。
そのたびにイライライライラ・・・ですが、
真っ白な濃い霧の中を風を切って滑るのはサイコーです!
滑り方をとやかく言ってくる10歳の娘にもイライライライラ・・・ですが、
スピードに乗って風を感じるのはサイコーです!
 次に、夏といえば海。
スキューバダイビングについてです。
 スキューバでたった一つ大事なことは、バディと離れないように手をつないでもらうことです。
それさえしてもらえれば、酸素はボンベから出てくるので、問題はありません。
真っ青なきれいな海を見ることができなくても、色とりどりの魚たちを見ることができなくても、
海の中心に浮かんでいる気分はサイコーです!
 そして、今流行のボルダリングです。
 私が壁に登っている後ろから、つかむ石を「クロックポジション」で教えてもらいます。
例えば、「2時方向近め」というふうに。
視覚障がいを持っている人は、このやり方でやることが多いようです。
 これらの三つのスポーツのやり方で共通していること、何だかわかりますか?
すべて、人とコミュニケーションをとりながらやっているのです。
あんなにも人とかかわることが苦手で嫌いな私だったのに、
こんなにも人とかかわりながらスポーツをしているなんて、
すてきなことだと思いませんか?
少しの工夫であきらめずにすむのです。
 もう一つ、私が好きなことをあきらめたくない理由があります。
娘にいろいろなことを経験させたいのです。
そして、限界を決めてほしくないのです。
あきらめない親の姿を見せたいのです。
 見えにくくなってよかった・・・というようなきれいごとを言うつもりはない
けれど、
大好きなスポーツがコミュニケーションをとりながら楽しくできるようになった
し、
これはこれで楽しいのです。
だから、視覚障がいを持った仲間には自分の限界を決めてほしくないのです。
あきらめてほしくないのです。
まわりを巻き込んで楽しんでほしいのです。
だって、「1人が好き」と公言していた私が、人とかかわりながらスポーツをす
るようになったんですよ。
限界、好き嫌い、自分の中にあったはずなのに、いつの間にか私は変わっていま
した。
 私の病気がわかったとき、主人が言いました。
「見えない中でどう工夫していくことができるのか、未来が楽しみだ」と。
そのときは共感できなかったけど、今ならわかります。
見えなくてできないことも、やり方を考えてできるようにすればいい。
あきらめない、あきらめが悪い、それが私。
 これからも、派手に転びながら「サイコー」をつかんでいきます!
 編集後記
 勢いのあるシュプール、転んで舞い上がる雪。
気持ちが前へ前へ、勇気を出して踏み出せば止まらず行くのみ。
にぎやかな親子3人のゲレンデの姿、ファンキーでカッコいいと思いませんか。
あきらめが悪い潔さにハイタッチです。
 自然に身を委ねつつ、壁に挑む中で、
いつの間にか人とつながる自分を好きになっていて、
それを仲間へのメッセージに託されたようです。
何度でもあきらめるな!、そんな声が聞こえてきそうです。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2019年6月28日
☆どうもありがとうございました。


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