メルマガ色鉛筆第158号「ひとひら」リレーエッセイ12」

タイトル 「ひとひら」リレーエッセイ12」
メルマガ色鉛筆編集チーム
 こんにちは、メルマガ色鉛筆編集チームです。
 今号は、しりとりスタイルのタイトルでリレーエッセイをお届けします。
暮らしの中の体験ひとひら、記憶ひとひらをつなぎます。
 155号の「人生はじめての」、「ノックアウト」のバトンを受けて、
「トンカツ」、「つまり私は目立ちたがり屋」というタイトルでのエッセイです

タイトル「トンカツ」
ペンネーム ドライロッド(40代 男性 弱視)
 今日は、出汁と卵をまとってあいつは俺の前に現れた。
少し前にはあいつはせん切りキャベツを相棒に俺の前に現れた。
忍者のように衣をかえて変装しても俺には分かる。
おいしいかつ丼だ。
だってまずいわけがない。
トンカツは旨いに決まっているからだ。
豚は焼くと固いのが多いのに、だから生姜焼きは薄いのに、
例外なくトンカツは柔らかい。
そしてジューシーだ。
 キャベツを添えればトンカツ。
ソースはウスターもいいけど、中濃ソースかトンカツソースがいい。
ただ、串カツは断然ウスターソースだ。
ドボンと付けて二度付け禁止。
一気に食べて、ビールで流し込む。
これに限る。
出汁の効いた半熟卵をまとってご飯に乗せればそれはかつ丼。
もし西部警察の取り調べ室で出されたら石原裕次郎に尋問される前に
やってもいないのに自白するかもしれない。
オプションでブランデーくれたらもっとべらんべらんと口はなめらかになりそう
だ。
 卵でなくてもいい。
ご飯の上にせん切りキャベツの座布団を敷いてトンカツを上にどーん。
そこに名古屋名物の「つけてみそかけてみそ」をかけただけでもいい。
トンカツにはまだまだある。
ヒレカツに酢飯と海苔をまとえば、巻きずし。
スーパーで400円以下で時々日曜日の昼に買って食べるけど、
いつも期待を裏切らない美味しさだ。
某スーパーのデリカコーナー、ありがとう。
できたら半額シールをもう少し早い時間に貼って欲しい。
 最初からパン粉をまとっているのにさらにパン。それはまさに倍率ドン。
さらに倍。はらたいらに500円、それはカツサンド。
何それのブーイング、クイズダービーは古すぎたか。
よし、黄色いトンカツが白いパンに飛び込んだ、しかし白いパンがそれを
はさみ込む。まさにそれは黄色に白が飛び込んだ。はいアタックチャーンス。
これなら分かってもらえるに違いない
 おっと、カツカレーを忘れるところだった。
それにしてもカツカレーはかつ丼と違って食べるのが難しい。
それにしてもトンカツとカレーとライスをどうやって同時に食べたらよいのか、
スプーンでもお箸でも同時に食べる方法がいまだに見つからない。
いつも箸でトンカツを食べて、スプーンでカレーライスを口に放り込む。
右手で箸とスプーンのタッグマッチは面倒だ。
いっそのこと左でスプーンが使える様に訓練した方がいいのだろうか。
右手の箸でトンカツを、左のスプーンでカレーライスを同時に口の中に頬張る。
だめだ、やる前から行儀が悪いのが、ありありと見える。
蟹ですら交互にはさみを使うのに、蟹みそ以下の脳みそかと疑われる。
だから、一人の時にやってみよう。
 ある時は串カツ、かつ丼、ある時はカツサンド、ある時は寿司。そしてカツカ
レー。
これだけあるなら、トンカツ料理はまだあるはず。
ないわけがない。
ただ見えてないだけで必ずある。
今は見えないけれど俺には未来の方向からはっきり仏陀ならぬトンカツの
神様の声が聞こえる。なんか、ブイブイと聞こえてくるけど、それは
多分、ビクトリーのブイに違いない。ビクトリーは勝利。
やっぱり勝つにこだわれと俺には聞こえる。
次は何をまとって俺の前に光臨するのか楽しみで仕方がない。
ーー
 トンカツってうまいよな、これだけでは伝わらないトンカツラブをリズミカル
に熱く語られました。
ペンネームのドライロッドとはあるアニメの中に出てくる用語で、色は赤です。
情熱トークのバトンはミラクルに好きなものを語るバトンへとつながっていくよ
うです。
タイトル つまり私は目立ちたがり屋!
ペンネーム ハナノイロ(20代 女性 全盲)
『もし、生まれ変わるなら?』
そう考えた時、一番最初に出てきたのは「図書館」でした。
理由は3つ。
その1、色んな本と触れ合って、私の知らない色んなことを学べるから。
学校との大きな違いは、好きなことを調べられて、飽きたらまた別のことができ
るからです。
それに先生と違って、本は怒らないから安心して読めます。
2つ目は静かに暮らせるからです。
誰にも邪魔をされることなく、ただひたすら自分の世界に浸って、色々な想像が
できます。
旅行したり、科学の実験をしたり、時には殺人事件の犯人を追う刑事さんになっ
たり…。
誰にも邪魔されることはありません。
自分の思い描いた通りに世界が創り出されて、主人公になれます。
実際できないことを疑似体験できるのが本の良いところだと思います。
 最後は…地図上に図書館のマークがあるから。
実はこれが一番の理由です。
あんなに静かで誰にも邪魔されたくないって言ったのに?と思われるかもしれま
せん。
それでも地図の上では「私はここにいるんだよ!」と自己主張したいです。
声をかけられるのは鬱陶しいのに自分をアピールしたいなんて、都合のいい話だ
なと自分でも思います。
それでも地図上のマークで人から「あっこんなところに図書館あるんだ」と思っ
てほしい。
なんなら地図に書いてあるマークを全て図書館にしてやろうかとも思います。
どうしてでしょうね…
つまり私は目立ちたがり屋!
たぶん、きっと。
ーー
 生まれ変わったら何になる?、そんな想像から想いはひろがっていきました。
心で描くことは自由で、いろんな冒険ができて楽しいですね。
ペンネームのハナノイロ、自由に色をイメージできるところがエッセイにピッタ
リですね。
地図記号、久しく見ることもありませんでしたが、今回図書館のマークがあるこ
とを教えてもらいました。
本のページが開かれているデザインだそうです。
「好き」を前へ前へ主張する二つのエッセイに勢いを頂きました。
 それぞれの人生のひとひら、ほんのりと思いをつなぎながら、
次回のリレーエッセイへと続きます。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2019年6月7日
☆どうもありがとうございました。


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