メルマガ色鉛筆第143号「ひとひら」リレーエッセイ7

タイトル 「ひとひら」リレーエッセイ7
メルマガ色鉛筆編集チーム
あけましておめでとうございます。
メルマガ色鉛筆編集チームです。
2019年もどうかよろしくお願いします。
 今号は、昨年に引き続きしりとりスタイルのタイトルでリレーエッセイをお届
けします。
暮らしの中の体験ひとひら、記憶ひとひらをつなぎます。
 140号の「ちりめん山椒」、「将来の夢」のバトンをうけて、
「めだか」、「かっ飛ばせ」というタイトルでのエッセイです。
タイトル 「めだか」
ペンネーム sky blue kyoto lightHouse(70代 女性 弱視)
 「め」でバトン受け取りました。
タイトルは「めだか」ですが、本文は赤めだかの話です。
2015年、TBS年末スペシャルドラマ「赤めだか」が放送されました。
特にこのドラマが観たくて観たのではないですが、
スペシャルだから、きっといいドラマかもしれない。
それに、赤めだかなんて実に不可解なタイトルも気になりました。
このドラマを観てから既に3年も経っています。
エッセイのテーマをめだかと決めて、久しぶりに私の心の中を、
そぉっと そぉっと覗いてみました。
立川談志師匠と弟子達一門との笑いあり、涙ありのドラマです。
ある日、師匠は新弟子の談春さんに
「活きのイイ金魚を買ってこい」と一万円を手渡しました。
談春さんは空腹を満たす為
こともあろうにそのお金で弟子仲間を誘って焼き肉を食べてしまいました。
残金は数百円、これでは金魚は買えません。
そこで金魚に似た赤めだかを買って、おそるおそる師匠に渡しました。
師匠は何も言わず、水槽の中に入れた赤めだかを黙って眺めていました。
 果たして師匠は、金魚だと思って眺めていたのでしょうか?
日頃は理不尽で破天荒な師匠ですが、
心優しく弟子たちを思いやる気持ちがしみじみ伝わってきたワンシーンでした。
同時に、ドラマのタイトルであった「赤めだか」の謎も解け、
ストンと落ちた心持でした。
 師匠役は談志さんの弟子だった北野武さん。
さすが身近にいただけあって、ピッタリはまっていました。
新弟子、談春さんには、嵐の二宮君。
素人っぽい落語が、妙に新鮮でした。
この二人のキャスティングはvery very good
 近年、癒しを求めてめだかを飼う方が増えているようです。
めだかの生態は、水の中ではリーダーが存在するようですが、
小川のせせらぎでは群れをなして、みんなでお遊戯しています。
因みにめだかには、赤も青もあるそうです。
 ところで、視覚障害者支援施設「町屋カフェさわさわ」にもめだかの学校があります。
師匠は、松永信也先生です。
多くの弟子達はめだかです。
真打は、さわさわの仲間です。
色鉛筆の皆さま、一度授業参観にお越し下さい。
お待ちいたしております。
--
 「め」のバトンをうけ、「めだか」とすぐにタイトルが決定。
談志さんがめだかを眺めるシーンと
さわさわのめだかの学校のイメージが頭の中で並んだそうです。
忘れられない人情物語、ドラマと現実、
それぞれの師匠のまなざしが一つのキーワードを導いたのでしょうか?
潜在意識から今に重なるもの、このバトンを引き継いでのリレーです。
タイトル 「かっとばせ」
ペンネーム ホワイトタイガー(40代 男性 弱視)
 私は物心のついた時から野球が好きでした。
小学校では少年野球、中学校では野球部、
20代の時には職場の人たちと草野球をしていました。
自分がプレイするより、レベルの高い人のプレイを見る方が好きだったように思います。
ちなみに、阪神ファンです。
プロも好きですが、高校野球が特に好きです。
高校野球の決勝戦、忘れられない試合が二試合あります。
二十数年前の夏の大会、熊本工業対松山商業の試合です。
熊工1点のビハインドで9回最終回の攻撃、
1年生のバッターがレフトスタンドへ同点ホームランを打ちました。
熊工は押せ押せの展開となり、延長戦ワンアウトで3塁に走者を置きました。
3塁ランナーがホームにつけばサヨナラのシーン、
左バッターが打った打球は大きなライトフライで
熊工の勝利かと。
その直後、ライトの選手が矢のようなホーム送球、
ストライク送球によりキャッチャーのタッチアウトとなりました。
野球には流れがあり、意気消沈した熊工は敗れ、松商が優勝しました。
 もう一つは二十数年前の大阪上宮高校対愛知東邦高校の試合です。
上宮高校にはプロ野球でも活躍した曲者元木大介選手がいました。
試合は延長戦に入り、先攻の攻撃で上宮高校が1点を入れ、その裏の東邦高校も
ツーアウトランナーなしになり、あとワンアウトで優勝が決まる場面でした。
次の打者がフォァーボールを選び、また次の打者がヒットを打ち一塁二塁、
さらに次の打者がセンター前にヒットを打ちました。
バックホームもセーフで同点、二塁ランナーが飛び出し、
キャッチャーが走者を追いかけ二塁に送球、それが悪送球、
カバーに入った外野手がそのボールを取れず、
ボールは無情にも外野のフェンスに転がり、
二塁ランナーがサヨナラのホームに帰りました。
東邦高校が優勝、敗れた上宮高校ナインは泣き崩れていました。
今でも脳裏に焼き付いています。
 4年前に視力が悪くなった私は野球をラジオで聞くことが多くなりました。
見えていたころはよく甲子園に行っていましたが、
見えにくくなってからはあきらめていました。
しかしライトハウスで知り合った方が高校野球を見に行こうと誘って下さいました。
私は西京極球場まで秋の京都大会準決勝を見に行きました。
球場では三塁側に座りました。
金属バットの音やアルプススタンドの声援、周りの人達の応援などは
やっぱり球場でしか堪能できません。
ラジオとイヤホンが必需品です。
ラジオがなければ、何点入っているのか、どっちの攻撃か、
どこにボールが飛んだかなどさっぱりわかりません。
見えないので、飛んでくるファールが怖かったです。
ファールが飛んでくるたんびに顔を伏せていました。
障害者手帳を見せれば無料でした。
ラジオの生放送に助けられながら生の野球を楽しめる、
見えにくい私ですが、野球場での楽しみ方が分かりました。
外野手の「しまっていこう」の気合い、選手に投げられるかけ声、
ラジオからは聴こえない熱気がそこにはあります。
球場に行けば野球に包まれる、
野球の試合の中にいられる、野球を体で感じることができるんです。
次は甲子園球場での野球観戦に挑戦したいと思います。
ーー
 忘れられないもの、鮮やかに浮かぶシーン、どちらのエッセイにもありました。
そして、その記憶が導く先に重なるイメージがありました
「めだか」では人情と仲間、「かっ飛ばせ」では観ると包まれる、
自分の中にある点と線、それが縁となり熱い思いが生まれたようです。
 それぞれの人生のひとひら、ほんのりと思いをつなぎながら、
次回のリレーエッセイへと続きます。
-- このメールの内容は以上です。
発行:   京都府視覚障害者協会
発行日:  2019年1月4日
☆どうもありがとうございました。


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