メルマガ色鉛筆第138号「みんなと私からのバースデーケーキ 色鉛筆5周年」

タイトル 「みんなと私からのバースデーケーキ 色鉛筆5周年」
メルマガ色鉛筆編集チーム
 色鉛筆の編集チームは、企画、編集、校正、配信、運営を視覚障害の当事者が行なっています。
例外はお1人で、校正に晴眼の人にも入ってもらっています。
 今回は編集チームからの当事者の声をお届けします。どうぞお読みください。
ここから本文です。
 色鉛筆編集チームの石川佳子です。
私が色鉛筆で記名原稿を書くのは創刊第0号以来のこと、少し緊張しています。
 私が色鉛筆の編集企画を担当し5年が過ぎました。
創刊前から今も、色鉛筆の可能性に対する思いは、私の中で日々フツフツと脈打っています。
バースデーケーキに添えられたろうそくの1本1本を灯すような心持で、
「色鉛筆と私」というテーマで自分と向き合ってみたいと思います。
 眼を閉じて1本目のろうそくのことを考えてみました。
震える手で炎を近づけると、揺らぐ灯は「信念」を映しています。
 まだ見ぬ仲間へ、「あなたはひとりぼっちじゃない」と声をかけたい。
医療から福祉への早期連携として使えるアイテムを作りたい、
メルマガならほんのりとつながる1ステップ目になるかもしれない、
スーパーヒーローじゃない、軽いおしゃべりのようなレポートをゆるく届けていけたら。
そんな思いが恋をして色鉛筆はこの世に産声を上げました。
眼のことで辛くて、本人さんが情報も人もシャットアウトしたとしても、
その周りの方に色鉛筆を手にしてもらえれば、
いつかやさしいタイミングで色鉛筆が語る何かを伝えて頂けるかもしれない。
将来を不安視するご家族さんにとって未来を描くヒントになるかもしれない、
医療、教育、研究、福祉と関わる誰もが、
見えない、見えにくいならではの何かにつながるヒントになるかもしれない、
それができるのは見えない・見えにくい人のあるがままの声のはずだと。
ただひたすらにこの一心を胸に私は理解者を求め歩きました。
そして、たくさんの諸先輩方々が私の知らないところで縁の下の力持ちになってくださり、
今も歩くことができています。
 2本目のろうそくは、「可能性」を示してくれました。
 色鉛筆を手にして下さる人との出会いは、地域や立場を越えてひろがっていきました。
共感、共有、問題意識、いろんな角度から編集部に熱い声が集まりました。
その温度に支えられどんどん新しい企画がわいて、それを実践させひろげたいという根性を丸出しにして
私はあちこち走り回りました。
遠い地で出会う人たちは色鉛筆という名の家族のような絆の内に、私を迎え入れ包んで下さいました。
実際に手を握り語り合う中に、送る側にだけ立っていては見えない学びがありました。
ビビビッ、この思い絶対企画にしてお届けしなきゃ、
そんなキーワードを読者の皆様が寄せて下さり、カラフルなレポは生まれ続けています。
3本目のろうそくは、「役割」の先に何があるのかを問いかけてくれました。
書き手さんと読み手さん、その間に立つ自分の役割の中に支えがありました。
書き手さんの産みの苦しみや、心を描き出す苦悩や、語る勇気に寄り添いたい、
でも、結局支えてもらったのは私でした。
作品のどんな結びにも生きる強さがありました。
どうにもならないんだという叫びそのものにも握りこぶしの力を感じました。
強くいられなくても、弱くても今を生きればそれでいいのだと確かめ合うようなひとときを何度も頂きました。
御寄稿に添えられた書き手さんと私との対話の中に、配信には載らないもう一つの物語がありました。
編集作業そのものが一回りした後、私は書き手さんに癒やされ支えてもらっています。
 4つ目のろうそくは、「挑戦」による己の有り様を見る機会を与えてくれました。
 それは、企画、編集作業、後記を紡ぎだす過程にありました。
文章というツールで私自身が私の心と向き合い、書き手の心にどう触れるか、ど
う響き合えるか、この格闘です。
表現や文法上の修正をする編集においても、レポートとレポートをつなぐコメントにおいても、
導入や結びにおいても、書き手さんの表現を尊ぶことがどこまでできるだろうか、
深く広くたくさんのせめぎあいを重ねました。
その時間の中で、文章とは何か、語るとは何か、書くとは何かについて自身に問いかける私がいました。
編集作業そのものが、見えない書き手としての私、その挑戦を支えてくれています。
 5本目のろうそくは、「安堵」の内にある白いページそのものを見せてくれました。
 アイデアがあふれてとまらない無鉄砲な私を、大きな胸で受け止めて共に歩いてくれた仲間がいます。
毎週の編集会議でも何を言い出すかわからない私の切り込み体質を否定することなく、
やんわりと、ゆるやかに、私を安全な地に導いてくれたのはチームの相棒でした。
彼はだめで弱い私を、毎週支えてくれました。
1人の生命体がタイムリーにやりとりできる実体としての支えであり、
いつも白いページをひろげて私のそばにいてくれます。
 人と情報につながることからはじまる一歩へ、その思いで色鉛筆を創刊し活動を続けてきました。
書き手さん、読み手さん、チームメイト、関わるすべての人達の支えなしに
私は歩いてくることなどできませんでした。
文章というツールを通して心を語ること、心に寄り添うことを求めているのは自分なのだと感じます。
もはや色鉛筆は私の人生の一部、体の一部になっています。
どうにか見える、どうしても見えない、どうも見えにくい、どんな状況においても、
それが引き金となり様々な苦悩や困難、葛藤、焦燥は訪れます。
心折れそうな時も、色鉛筆という居場所を我が身の中に携える私は、
万(よろず)の神の御守りと共にあるようです。
今、バースデーケーキに5本の灯がともりました。
絶やすことなく6本目、7本目、8本目・・・と心の灯をつなぎ、
毎年バースデーケーキを眼に浮かべながら、祈りを重ねたいと思います。
このお約束を皆様への感謝に代えて、最後にふうーっとろうそくの灯を消したいと思います。
メルマガ色鉛筆。
5歳のお誕生日おめでとう。
生まれてきてくれてありがとう。
編集後記
 色鉛筆は石川さんのやりたいという思いから始まりました。
当事者団体はセルフヘルプ、自助、同じ不自由を抱える人を助けるための団体ですが、
やりたいことを実現するための団体でもあってほしい、と思っていました。
 やりたいという思いは、見方を変えると、その人をつき動かすものがあるということでもあります。
それは1つではなく、多くのものが組み合わさって力を強めて行きます。
石川さんは、特に人と人とをつなぐという力と文章を生かすという力がものすごい。
 でも、ものすごいというのは楽勝ですごいということではありませんよね。
それだけ当人の苦労も大きい、ものすごい。
その上、やりたい思いの強さを形にするため、原則として月2回、発行することにしました。
それで苦労はさらにきっと倍増したと思います。
そしたらもっとすごいことに、時として月3回の発行に踏み切るのが石川さんだったのですよ。
 そんな内幕の色鉛筆です。
色鉛筆につながっているみなさん、サポートしてくださり、支えてくださり、どうもありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いします。
口こみ紹介もお願いします。
いっしょに唱えることができたらうれしいです。
色鉛筆5周年、誕生日、おめでとぉぉぉっ!
ーー このメールの内容は以上です。
発行:  京都府視覚障害者協会 
発行日: 2018年11月16日
☆どうもありがとうございました。


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