新年のご挨拶

本会会長 田尻 彰(たじり あきら)
 新年明けましておめでとうございます。旧年中は本会と共に歩んでいただき、多くのご支援、ご協力を賜りましたことに対しまして、深く感謝申し上げます。本年も引き続き、お力添えを賜りますよう、よろしくお願い致します。
昨年2018年は皆様方にとって、どんな年だったのでしょうか?
何をおいてもまず思い出されるのが、真夏の猛暑の連日の前後に生じた大阪北部地震から台風の相次ぐ襲来、大雨被害等、全国各地に大きな爪痕を残した自然災害の脅威だったのではないでしょうか。ある被災者は、一人暮らしで夜が長く不安だったことを述懐されていました。さぞ心細い気持ちで過ごされたことだと推察いたします。その後、本会での調査の結果、かつてない被害件数を数え、年末になっても傷跡が癒えないまま年越しをされた方々も多数おられるようです。一時も早く平常の暮らしが戻られることを願ってやみません。
 さて、本会は昨年度において、会結成70周年目の大きな節目を迎えました。6月24日には定時総会に引き続き記念式典と記念講演、そして9月11日には本会及び京都ライトハウスの創設者・故鳥居篤次郎(とりい とくじろう)初代会長の故郷与謝野町にて「頌《しょう》徳《とく》碑《ひ》墓参《ぼさん》」を企画したところ、府内各地からバス7台の配車で総勢200名に達する方々のご参加を得て、盛大な記念事業を催すことができました。それに加えて、今回は、京都ライトハウスとの共催で鳥居賞、鳥居伊都(いと)賞の受賞伝達式を挙行し、正に鳥居先生を偲ぶ企画となりました。これもひとえに、当日遠路ご参加いただきました多くの方々をはじめ、支えていただきました地域のボランティア、関係施設等の方々の広範なご支援によるものと、深く衷心より感謝申し上げます。
○本会にとっての本年はどんな年に?
 第1に、原点に立ち返って、独りぼっちをなくす対策の具体的な推進です。
 最も気がかりなのは、本会の会員数の減少傾向に歯止めがかからないことです。今から50年前の記録等を見ると、既に会員数が800人を超えていたのに対し、その後本会の会員数は1980年代前半を境に少しずつ減少傾向に入り、その流れが続いています。若い入会者が増えないばかりか、最近では地域団体への入会が原則であるのに対して、本会会員のみの入会が増えつつあることが懸念されます。いずれにしても、独りぼっちをなくす対策の基本は仲間作りであり、本会が地域で推進している「サテライト(地域のたまり場)」や「南部アイセンター(南部地域のミニライトハウス)」、そして福知山市での「北部拠点」(名称募集中)の2020年度当初の誕生です。それぞれが視覚障害のハンディを背負って力強く生きて行くための本会作りを強く推進しなければならないと思っています。
 第2には、一昨年にスタートした「京都ロービジョンネットワーク」の本格的な活動を軌道に乗せるための共同行動です。府内の視覚障害関係施設とも力を併せて、日々の相談員の活動を推進する中心的な役割を担う団体としての存在感を発揮しなければならないと思っています。相談から始まるリハビリを経て、社会復帰、社会参加のプロセスを日常の流れに位置付け、一人ひとりが障害のある府民、市民として、暮らしやすい社会作りを目指すことこそが、京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例(2015年4月に全面施行された「障害者差別解消法」の京都府版)などの目的とも合致する理念であると思っています。
 第3には、働く視覚障害者のそれぞれの希望や願いを実現するための手立てについての取り組みです。
 その一つに、現在準備委員会で検討されている「京マ会」再結成の取り組みがあります。これは、視覚障害三療家の業権を守るために、本会内の三療部とは別に新たな組織を立ち上げて、技能研修や就労情報の提供、就労促進などを目的にした新しい動きを作りだそうとするものです。働く視覚障害者の最も多く従事している三療業界の中で、晴眼者とそん色のない資質を養い、社会的に三療業を守り抜くための組織として立ち上げたいと願っています。多くの有資格者の方々をはじめ、その主旨に賛同される多くの個人、法人などに対し、広く呼び掛けて参ります。
 もう一つは、昨年の秋に公表された「中央省庁での障害者雇用率水増し問題」に象徴されるように、信頼してきた国や自治体の障害者理解の根幹が脆くも崩れ去ったことです。私たちの未来ある人生をかけて働く場が先人たちの運動によって数値化され、徐々に引き上げられつつあった水準の根拠が壊れたことへの怒りはどこにもぶつけようがありません。しかし、これを逆手に、私たちはさらなる行政責任を明確にしつつ、より高い目標値を掲げて障害者雇用の水準を引き上げなければならないことを痛感しています。より一層、働く視覚障害者の掘り起こしと中途障害による職場からの離脱を防ぎ止めるための視覚障害リハビリテーションの取り組みの意識を強めなければならない時期だと思います。
 そして最後に、現在、全国3か所(仙台、東京、大阪)の地方裁判所で係争中の「あはき法19条裁判」の行方が注目されます。昨年末までに大阪地裁では11回の口頭弁論が開かれ、毎回100名あまりの傍聴者が参加されています。裁判の長期化につれ、署名や裁判傍聴活動などにかげりが見えていることを危惧しています。ぜひ、多くの方々の思いを集めて、視覚障害あはき師が安心して働き続けることのできる日本を守るために、皆さんのさらなる運動へのご支援とご協力を願うばかりです。ちなみに、次回の第12回あはき裁判の口頭弁論傍聴(大阪地方裁判所)は、2月1日(金)午前11時です。
 今年も皆々様にとって、お健やかで、平和な年でありますよう、心よりご祈念申し上げ、新年に当たってのご挨拶とさせていただきます。


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